「北限のオリーブ」がほうじ茶に まろやかな味、石巻の農業法人ソーシオが開発・販売
東日本大震災で被災した女川町御前浜で「北限のオリーブ」を栽培する石巻市井内の農業法人ソーシオが、自社産オリーブの葉を使った「オリーブほうじ茶」を開発した。昨年開発したお茶に続く商品。ほうじ茶にすることで、香りがさらに豊かになり、ポリフェノールが大きく増えるなどヘルシーさが向上した。既に同市小船越の道の駅「上品の郷」で販売を始めたほか、JR東日本への納入業者から問い合わせが入るなど、評判を呼びつつある。
オリーブの葉は日本茶に比べ葉が硬く、ほうじ茶にする加工方法が課題だった。ソーシオの阿部栄三郎社長(71)の相談を受けた石巻市6次化センター(石巻産業創造)が東北銀行石巻支店の協力で、同じく硬いツバキの葉を使った「ツバキほうじ茶」を作っている大船渡市のバンザイファクトリーを紹介した。
ツバキほうじ茶は、東京の老舗宿泊施設「ホテル椿山荘」に納入されるなど高い品質と加工技術を確立している。同社がオリーブの葉の加工を快諾し、試行錯誤の末、香り高くまろやかなオリーブほうじ茶が出来上がった。ティーバッグが5個入って750円。
ソーシオの阿部社長は香川県産業技術センターから、オリーブの葉は、ほうじるなど熱を加えることで格段に抗酸化成分のポリフェノール含有量が増えるという検査データを入手。「ノンカフェインかつヘルシー。まろやかな味は大人だけでなく、子どもたちの口にも合うと思う」と手応えを話す。
ソーシオは2019年1月設立。オリーブ事業のほか、コケの栽培やドローンを活用した肥料散布などを手がけている。
今後は、石巻地方での取扱店を増やすほか、インターネット販売などを活用し、石巻の新たな特産として売り出していく。