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映画「護られなかった者たちへ」ロケ地 石巻・宮富士工業が話題 聖地巡礼、人気絶えず

佐藤さんのサインが入ったヘルメットを手にする後藤社長

 仙台市など東日本大震災の被災地を舞台に、生活保護を巡って起きた殺人事件を描く映画「護(まも)られなかった者たちへ」(2021年公開)のロケ地となった、プラント設備などの製造を手がける溶接事業所の宮富士工業(石巻市大街道東2丁目)が、映画ファンの間で話題になっている。作中では俳優の佐藤健さんの勤務先として実名で登場。現在も聖地巡礼で観光客が訪れている。

 「護られなかった者たちへ」は、河北新報など全国の14紙に連載された中山七里さんの長編ミステリーが原作。20年に県内各地で撮影、21年10月1日から全国で公開された。

 宮富士工業での撮影は20年7月、佐藤さんが社名の入ったヘルメットをかぶり、防護服姿で鉄板をつなぐ溶接作業のシーンなどを撮影。社員数人もエキストラとして出演した。

 佐藤さんに溶接技術を指導した後藤春雄社長は「集中力がすごく、短時間でこつをつかんだ。雰囲気も本物の職人のようだった」と振り返る。

 見学希望の問い合わせが来るようになったのは、公開から数日後。同社では佐藤さんのサインが入ったヘルメットや、撮影を行った工場内を見ることができる。30~40代の女性が多く、東北地方の他、大阪から訪れた人もいたという。

 公開終了後も、見学したファンが交流サイト(SNS)に載せた写真を見たと話す人も訪れ、映画に登場する石巻市の石巻南浜津波復興祈念公園や市震災遺構門脇小の校舎なども巡っている。

 後藤社長は「被災地だけでなく、溶接業界にも関心を持ってもらうきっかけになった。担い手不足解消につながればうれしい」と期待する。宮富士工業は見学希望の照会があれば相談に応じている。

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