女川中心部に宿泊施設、今春開業 町内の水産関連5社、新たな収益へ連携
女川町中心部に今春、宿泊施設「Swimmy Inn Onagawa(スイミー イン オナガワ)」がオープンする。町内の水産関連など5社でつくる事業協同組合が、町有地を借り受けて整備を進めている。水産業を取り巻く環境が厳しさを増す中、連携して新たな事業の柱に育てるとともに、工事関係者や観光客の受け皿となり町活性化の一役を担う。
国道398号に面した黄金地区の町有地約1万2000平方メートルに、フロントや食堂、客室を備える木造2階の本館(延べ床面積約1230平方メートル)と、木造2階の宿泊棟4棟(同各約850平方メートル)を整備する。中長期の滞在を想定したシングル184室と、観光などで利用できるツインやダブルなど20室の計204室を設ける。町内を中心に石巻地域などから30人以上の雇用を見込む。
事業は、町内の渡辺商店、石森商店、岡清、マルキチ阿部商店、御前屋が設立した「Swimmy Onagawa(スイミー オナガワ)事業協同組合」が担う。主力魚種であるサンマの不漁が続く中、水産業以外にも収益の柱を構えようと連携した。組織名は、小さな魚が力を合わせて大きな魚に立ち向かう物語「スイミー」にちなんだ。
町は東日本大震災で甚大な被害を受け、宿泊施設の多くが被災。組合によると、ベッド数は震災前の約3分の1に減った。東北電力女川原発が立地し工事関係者などの宿泊需要はあるものの、供給が追い付かず多くが町外から通っているのが現状。町内での宿泊を可能にすることで、飲食店や小売店などへの波及効果が期待できると考えた。
震災前に約1万だった町の人口は、1月末時点で5964人と6000人を割り込んだ。組合理事長に就いた渡辺俊季さん(46)=渡辺商店社長=は「町に滞在してもらうことで、活動人口が増え飲食店なども潤う。宿泊者と住民の交流が生まれ、女川のファン拡大にもつながればうれしい」と期待を寄せる。
施設は5月上旬の開業を目指す。清掃や調理などのスタッフを募集している。連絡先は総支配人の鈴木さん090(2993)3816。