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語り継ぐ力を演じて育む 震災テーマに舞台、俳優と子どもたち共演 石巻

俳優と子どもたちが共演。命の輝きを語り継ぐ大切さを訴える

 東日本大震災を題材にした舞台「いのちのかたりつぎ」が5日、石巻市河北総合センターで上演された。地元出身の俳優らとワークショップを経て参加した被災地の子どもたちが共演した。歌やダンスを交えた芝居で津波の恐ろしさ、命の輝きを語り継いでいく大切さを訴えた。

 震災の体験を伝える活動に取り組む「三陸まちづくりART」(大船渡市)が主催し、石巻公演は3年目。震災後に石巻市に移住した演出家の都甲マリ子さん(神奈川県出身)が演出を担当し、同市出身の俳優芝原弘さん、大橋奈央さん、東松島市のシンガー・ソングライターSAKUYAさんのほか、仙台市を拠点にする俳優が出演した。

 東日本大震災時に石巻の子どもたちが体験した話を基にした「子どもの星」や、慶長の大津波後に南三陸町で踊り始めたとされる郷土芸能・鹿踊りを題材にした「やちたび」など5作品を約1時間10分にわたって熱演した。

 被災地である石巻の子どもたちが俳優と共演する場面では、震災後に生まれた小学生も数多く出演。震災と向き合い、自ら発信し語り継いでいく力を育む場となった。

 鑑賞に訪れた石巻市住吉町の男性(93)は「私の家も津波で被災した。震災から12年になろうとしているが風化させてはいけない。伝承という意味で芝居の果たす役割を知った。子どもたちが大人の俳優と一緒になって懸命に伝えようとする姿に感動した」と語った。

 自らも被災地での演劇活動に力を入れる芝原さんは「子どもたちとの未来を感じた舞台になった。これまで以上に客層も広がった」と充実感をにじませた。

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