「悪水」「土手蔭」など仙台の旧町名も 戦中・終戦直後の地図2種復元
仙台市泉区のグラフィックデザイナー厚綿広至さん(54)と青葉区の郷土史研究家千葉富士男さん(63)が、戦中や戦後直後の仙台で使われた2種類の地図を復元した。地形特性が由来の「悪水」など今はない町名も記され、高い関心を呼びそうだ。(報道部・桜田賢一)

仙台のグラフィックデザイナーと郷土史研究家
復元した地図は「新大仙臺全圖(せんだいぜんず)」(縦1・43メートル、横1・04メートル)と「MAP OF SENDAI(マップオブセンダイ)」(1・03メートル、1・13メートル)の二つ。元の紙製の地図をスキャンしてデータ化し、劣化で見えにくくなっていた線や文字、数字を一つずつ書き込むなどした。破れにくいよう不織布に印刷した。
「新大仙臺全圖」は、東京の地図製作会社の前身企業が1943年に販売した物で、厚綿さんが知人から借りてデータ化した。空襲で焼け野原となる直前の仙台の姿が分かる。現在とは異なる道路の形状や地区の境、今は失われた町名が記されている。
現在は宮城野区宮城野が町名のJR仙石線宮城野原駅周辺は当時「悪水北」「悪水下南」と呼ばれた。長町-利府線断層帯の存在が知られる地域で、断層の影響で水はけが悪く、それが地名になった可能性が高いという。他にも「土手蔭(かげ)」「大窪谷地」など地形を反映したとみられる旧町名がある。

「マップ オブ センダイ」は30年代の仙台の地図に米軍が焼失区域や旧日本陸軍施設などを書き込んだデータが基。米プリンストン大に残っていると突き止めた千葉さんが同大からデータの提供を受け、駐留米軍が使っていた別の地図の内容を厚綿さんが加えた。
駐留米軍が名付けた街路名が特に目を引く。現在のマーブルロードおおまち、クリスロード両商店街などは「HICKORY ST.(ヒッコリーストリート)」、西公園通は「BROOKLYN AVE.(ブルックリンアベニュー)」など東西は樹木名、南北は米国の都市名が用いられている。
2人は「2種類の地図を見ながら歩き、仙台の昔の姿を想像して楽しんでほしい」と語る。街歩きイベントなどがあれば貸し出すという。
連絡先は厚綿さんijn1208@circus.ocn.ne.jp

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