J2秋田・新スタジアム整備 知事、事業費に難色 市「県も負担を」
秋田市郊外の外旭川地区で検討されているサッカーJ2秋田の新スタジアム整備を巡り、秋田県と市の足並みがそろっていない。同地区のまちづくりと合わせた整備を目指す市は4月以降、県と具体的な協議に入る予定だ。しかし、佐竹敬久知事が今月、検討中の施設の機能や事業費に難色を示し、波紋を広げている。(秋田総局・三浦夏子、藤原佳那)

「私のプライベートな情報だが、建設の専門家からは300億円は超えると聞いている」
7日の県議会総括審査で、佐竹知事は市が同地区で進めるまちづくりの事業パートナー、イオンタウン(千葉市)が示した約143億円の概算整備費に疑問を示した。
同社は2022年3月、観客席1万席と可動式の天然芝ピッチ、フィールド全体を屋根で覆うスタジアムを市に提案した。民設民営の想定で、概算整備費のうち計88億円は県と市、国に補助を求めている。
総括審査での発言について、佐竹知事は報道陣の取材に「概算整備費は資材高騰前の試算だ」と説明し、最低限の設備でスタートすべきだとの考えを示した。「(現構想は)民間だけでは整備できない。行政もそこまで負担できるかと言われれば難しい」と語った。
スタジアム整備を巡っては、17年の知事選で佐竹知事が唱え、同日選だった市長選で穂積志市長との共同公約にした。県は候補地として市内3カ所を示したが市の反対を受け、20年3月に断念した。
佐竹知事はその後、新型コロナウイルス対策を優先させるためスタジアム整備の先送りを主張。現在は事実上、市の主導で外旭川地区への整備が議論されている。
こうした経緯を踏まえ、15日の市議会2月定例会総務委員会では整備費や県との協議状況に関する質問が相次いだ。
成沢淳子市議(公明党)は「もともとは知事の公約だが、発言からは県が主導する姿勢が感じられない」と指摘。「市が主体となるには重い事業。もっと県にアプローチしてほしい」と市側に注文を付けた。
斎藤一洋企画財政部長は答弁で「知事が示した300億円の根拠は把握しかねるが、一定程度の規模であれば県も負担する姿勢だと考える。今後は県の役割が大きくなる。しっかり協議したい」と強調した。
市は外旭川地区で、新スタジアムと市卸売市場、商業施設を中心としたまちづくりを進める。3月中に基本構想を策定し、23年度は事業主体や費用負担などを盛り込んだ基本計画を策定する予定で、県との協議を本格化させたい考え。
[J2秋田(ブラウブリッツ秋田)]2009年発足。前身はTDKサッカー部(秋田県にかほ市)。14年にJ3に参入し、17年に初優勝したが、本拠地の収容人数がJ2基準を満たしておらず昇格できなかった。スタジアムの整備を進めることを条件に18年、J2ライセンスを取得。20年にJ3で優勝し、J2昇格を決めた。
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