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土葬可能な霊園整備を イスラム教徒ら、石巻市に陳情 東北に受け入れ墓地なし

土葬可能な墓地の必要性を訴えるイスラム教徒ら

 県内在住のイスラム教徒(ムスリム)らでつくる団体が25日、水産業などの外国人技能実習生らが多く暮らす石巻市に、土葬が可能な霊園整備を求めた。ムスリムは宗教上の理由で土葬されるが、東北地方には受入可能な墓地がないという。団体の代表者は「全ての外国人が安心して眠れる場所がほしい」と訴えた。

 団体は県内在住のムスリムのほか、技能実習生の受け入れ団体などで構成する「宮城イスラム国際共同霊園をつくる会」。メンバー11人が市防災センターを訪れ、斎藤正美市長に陳情書を手渡した。

 陳情では墓地の確保が深刻な問題となっており、同じく土葬を望むキリスト教徒の一部も同じ悩みを抱えていると説明。県が多文化共生社会の推進を掲げていることに触れ、国籍や民族、宗教にかかわらず利用できる霊園の建設を求めた。

 現在は友人、知人が協力し合い、埼玉県などにある土葬可能な墓地に埋葬しているが、手続きや費用の負担が大きいという。

 団体の共同代表で、同市で礼拝所「石巻モスク」を運営する一般社団法人石巻イスラム文化センター代表理事のソヨド・アブドゥル・ファッタさん(52)=バングラデシュ出身=は「家族らに迷惑をかけたくない。誰もが安心して眠れる場所を作ってほしい」と訴えた。

 斎藤市長は「市の公営墓地は条例で焼骨以外の埋葬が制限されている。新たな墓地の建設も財政的に厳しい」と回答。民間での整備については「お手伝いできることがあれば、させてもらう」と述べた。

 県内ではムスリム約1500人が生活し、石巻地方は技能実習生だけで約250人が暮らしている。市によると、国内で土葬に対応した墓地は埼玉県や山梨県など全国8カ所にとどまる。

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