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蔵王産トーチ人気にも火が付く 渡辺さん考案、月に500個超出荷 地元のヤマザクラ使い簡単に着火、甘い香りも

ヤマザクラの丸太を加工してスウェーデントーチを作る渡辺さん
着火と燃焼で特許を取得したスウェーデントーチ。右奥は新商品のウッドグリル

 丸太に切り込みを入れてたき火に使う「スウェーデントーチ」で、蔵王町遠刈田温泉の渡辺悟士さん(43)が考案した商品が注目を集めている。地元のヤマザクラの間伐材を使い、「ウッドストック」のブランド名でインターネット上で販売されている。月500個超を出荷する盛況ぶりだ。

 丸太の側面に2カ所の穴を開けるなどし、おがくずの着火剤で簡単に火が付くのが特徴。直径約10センチ、高さ約18センチとキャンプ場まで持ち運びしやすく、ゆらめく炎は約1時間持続し、甘い香りも楽しめる。価格は1個3580円。

 仙台市で育った渡辺さんは2007年にインターネット関連会社「ワールドライブ」を設立。東日本大震災で同市の実家が被災したのを機に東京から戻り、15年ごろに蔵王町を観光していて「親の転勤で中高時代に住んだ南仏の景色に似ている」と移住を決めた。アウトドア好きが高じて何百個も試作を重ねたトーチが22年夏、商品になった。

 目指したのは「まきストーブの原理を使った効率の良い燃やし方」。広葉樹は燃えにくいとされるが、特許を取得した着火・燃焼の構造で課題を克服した。商品はヤマザクラを地元の林業関係者から入手し、名取市の製材所で大まかに加工後、蔵王の自宅兼工房で仲間5人と仕上げる。

 現在は東京の企業にオンラインの販売を委ね、渡辺さんは生産と商品開発に専念する。5月末にはヤマザクラの燻製(くんせい)バーベキューが楽しめるウッドグリルの販売も始まった。

 インターネット関連ビジネスとはだいぶ趣が異なる仕事も、渡辺さんは「キーボードが彫刻刀になった」と柔軟に対応する。日本のハイクオリティー商品の輸出を同時並行で手がけており、「このトーチもいつか北欧で売りたい」。視線は常に世界を向いている。

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