仙台・中華料理店「クロモリ」の黒森洋司さん ガイド本「ゴ・エ・ミヨ」で明日のグランシェフ賞受賞
仙台市太白区向山の中華料理店「楽・食・健・美-KUROMORI(クロモリ)-」のオーナーシェフ黒森洋司さん(46)は、高級中華の分野で地産地消を追求し全国の食通に知られる。今春、ミシュランガイドと並ぶガイド本「ゴ・エ・ミヨ」で「明日のグランシェフ賞」を受賞。「開店から8年の取り組みが認められた」と喜ぶ。(丸山磨美)
開店から8年「取り組み認められた」
ゴ・エ・ミヨはフランス発祥で現在15カ国で刊行されており、今年の日本版は501店を掲載。東北は今回新たに対象に加わり、クロモリを含め29店が選ばれた。「明日の-」は日本の料理界をけん引することが期待される料理人が対象で、黒森さんと東京のシェフの2人に贈られた。
クロモリは予約制でコースのみ(ディナー基本コース1万9635円など)。「大崎市 生ハム・鶏」「若林区 広東白菜・人参(にんじん)」「石巻市 真鯛(まだい)」「気仙沼市 吉切鮫(よしきりざめ)の尾びれ」…。メニューを開くと宮城産を中心とした食材と産地が宮城県の地図とともに目に入る。裏面に仕入れ先の生産者らの名がずらりと並ぶ。
「食材も調味料も器も、ほとんど宮城のもの。首都圏に負けないクオリティーで提供する。『その土地のおいしいものを食べたい』という人にとって仙台に来る目的そのものになればいい」と黒森さん。実際、県外客が6割を占める。
中華で地産地消を掲げる店は珍しいが、宮城は地の利がある。「高級中華に欠かせない乾物のうち、ふかひれ、干しなまこ、干しあわびの3種がそろう土地は珍しい。産地で料理を作り、伝えられるのは幸せ」。1年を通し多彩な山海の幸も手に入る。味付けを極力抑え、素材を生かす。
東京の中華料理店で料理長を務めていた黒森さんが仙台に移ったのは2011年秋。同年3月に東日本大震災が発生し「料理人として復興を手伝いたい」との思いだった。被災した生産者らの食材を使い始め、県内の生産者や加工業者を訪ねて仕入れ先を増やした。欲しい中国野菜の栽培を依頼し、小麦粉、バターといった加工品も特注する。
「全国と戦える武器がやっとそろった。他の飲食店にも紹介し、生産者が潤うようにもしていきたい」
初心者向けのレシピ紹介
全国で料理教室を開催するベターホーム協会(東京)が仙台市青葉区の仙台スタジオなどで、「楽・食・健・美-KUROMORI-」のオーナーシェフ黒森洋司さんのレシピを用いた初心者向けの教室「黒森洋司シェフが考えた初めての料理~これから料理を始める方のために~」を開いている。
協会創立60周年を記念し企画した。月1回の3回コースで、各回のメーンは「五目チャーハン」「豚肉のしょうが焼き」「ポークハンバーグ」。手に入りやすい材料を使い、おいしく作るこつなどを学ぶ。黒森さんは「『自分で作ったらおいしい』と知るための料理のレシピを紹介した」と話す。
会費は3回で1万3860円。1回のみの受講は4620円。入会金3300円は別途必要。日程など詳細は協会ホームページで確認を。連絡先は03(3407)0471。
くろもり・ようじ 1976年横浜市生まれ。東京の高級中華料理店などで料理長を務め、2011年に仙台市に移住。14年に若林区に「楽・食・健・美 -KUROMORI-」を開店し、19年11月に現在地に移転。18年に農林水産省の「料理マスターズ」を受賞した。
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