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タガレンジャー、中の人は誰? ブルータガジョーさん<この人このまち・みやぎ>

ブルータガジョーさん

 「中の人は誰ですか?」。祭り会場で出会い、軽い気持ちで尋ねたら「絶対明かしません」と激しく拒否された。多賀城市を拠点とし、東日本大震災の被災地で活躍するご当地ヒーロー「地域盛り上げ隊タガレンジャー」のブルータガジョーさん。素顔を秘するのには、深い理由があった。(多賀城支局・浦響子)

 -活動を始めたきっかけは。

 「震災が起きた2011年の秋に当時6歳の娘がヒーローショーを見て、『私もみんなを元気づけたい』と言った一言です。ホームセンターで調達した材料を切ったり貼ったりして衣装を手作りし、翌年の3月11日にデビューしました。当初は娘でリーダーの多賀城あやめ(18)、マウンテンキングの3人体制でしたが、現在は娘と2人で活動しています」

 「本業の傍ら『週末限定ヒーロー』として復興を応援し、主に宮城、岩手、福島の3県でこれまでに七、八百回の催しに出演しました。イベントやお祭りを盛り上げ、津波被災地の人たちを勇気づけるのが使命。新型コロナウイルス禍を経て最近は出演依頼が増え、この夏の週末の予定はぎっしりです」

 -費用は自腹だとか。

 「子どもたちへのお菓子やプレゼントは自分で用意しています。コロナが広がってからは3年間で3万枚のマスクを配りました。大変ですが、子どもたちの笑顔を見るとすごく元気をもらえるし、やってきて良かったと感じます」

 -単独活動も増えているそうですね。

 「多賀城あやめが現在高校生で学業優先のため、私がメインで活動する機会が多くなりました。娘の最初の一言がなければこういう人生はなかったので、変な話ですが、彼女の意思を引き継いだような形になっています」

 「自分の健康状態次第ですが、体が持つ限りは続けたい。数十年後、今の子どもたちが大きくなった時に『タガレンジャーっていたよな』って言ってもらえる存在になれたらと思っています」

 -正体はやっぱり秘密ですか。

 「例えば1000年後にまた大きな災害が起きた時、自分はもういませんが、誰かが意思を引き継いでタガレンジャーとして被災地を元気づける活動をしてくれればうれしい。ヒーローは年を取らないし死なないわけですから、誰が入ってもいい。そのためにも、自分の正体は絶対に明かさないつもりです」(火曜日掲載)

[ブルータガジョー] 年齢非公表。2012年から「地域盛り上げ隊タガレンジャー」の一員として活動。名前の由来となる海の青色を基調とするコスチュームに身を包む。

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