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阿武急と沿線風景を再現 「Nゲージ」とジオラマ、クリーニング工場内に展示 「鉄道の存続 支援したい」 宮城・柴田

阿武急への愛情が高じて作ったジオラマを眺める国分会長(右)と中沢さん

 クリーム色に緑のラインが入った列車が渓谷の鉄橋を渡る。柴田町剣崎のクリーニング業「ドリームランドリー」の本社工場には鉄道模型「Nゲージ」を展示する部屋がある。国分英敏会長(61)は、近くを走る阿武隈急行をはじめ鉄道への愛情が強い。仲間を誘って6月までに三つのジオラマを制作し、予約制で見学者を受け入れている。(大河原支局・伊藤恭道)

 「通学で使う学生には不可欠。沿線の自然が豊かで絶景もある」。国分さんは丸森町内をイメージし、阿武急沿線を再現したジオラマを眺めながら胸を張る。

 大きさは縦1・5メートル、横2メートル。列車やトンネル、川、水田、神社や家屋ばかりでなく、鉄道写真の愛好家「撮り鉄」の姿までミニチュアで配置する。初冬という設定で山はうっすらと雪景色。国分さんが現地を歩いて制作に生かした。

 ジオラマ作りのきっかけは、知人だった大河原町内の会社経営者(故人)が趣味で集めていた鉄道模型などを、遺族が処分しようとしていると知ったことだった。国分さんが頼み込んで無償で譲り受けた。

 昨年7月、仕事で付き合いのある運送会社に勤務し、Nゲージに詳しいドライバー2人に制作を依頼した。2人は約2カ月間で東北新幹線が走るJR仙台駅周辺をイメージした作品を完成させた。続いて2作目の「昭和の田舎」風のジオラマが出来上がると、国分さんは「次は大好きな阿武急しかないと心に火が付いた」と振り返る。今年4月から約3カ月で「阿武急ジオラマ」が完成した。

 もともと阿武急への支援活動をしていた。昨年末、「ありがとう」の文字を漢字に組み込んで「夢」とデザインし、列車の先頭に掲示するヘッドマーク広告を出した。阿武急をPRするポスターを独自に作って貼ったり、クリーニング会社の従業員に旅を楽しんでもらうため貸し切り列車を運行したりしてきた。

 「ジオラマで再現した名所を実際に巡り歩く人が増えたら阿武急と地域が元気になる」と見学を呼びかける。

 国分さんの部下中沢光さん(30)も、Nゲージの魅力に引かれて制作を手伝った。「ジオラマ見学が子どもたちの思い出になればうれしいし、ついでにクリーニング業にも興味を持ってほしい」と笑う。

 連絡先はドリームランドリー0224(58)3588(日曜定休)。

昭和期を思わせるNゲージジオラマの全景

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