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<音紡ぎ(16)>老父の歌の記憶

 父は、音楽の才がなかった。ピアノ教師だった母は、もちろん相応のセンスがあったのだが、父は見事に欠如。私が演奏で伸びなかったのは、自分の遺伝子のせいだと自認していた。その代わり、父からは歴史、社会、哲学、文学など、人文社会学系の関心を引き継いだ。それはそれで、確実に今の私をつくっている。

 ともあれ、…

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