石巻のスズキは空腹? シカの事故要因は? 石巻専修大生、卒業研究を掲示発表
石巻専修大学で、理工学部生物科学科の卒業研究ポスター発表会があった。海洋生物、動物、植物の3コースの学生約55人が石巻地域などの身近な生物の実態をポスターにまとめ、独自の視点で考察した。
海洋生物コース4年の池内壮さん(21)は、定川と北上川で釣った50匹のスズキの胃の内容物を調査した。先端から尾びれの分かれ目までの尾叉長(びさちょう)が400ミリ以下の個体はアミ類を、400ミリ以上の個体は魚類を多く食べていることが分かった。
全体的に胃の中の餌の量が少なく、空だった個体が30%に上った。「河川のスズキは十分に餌を獲得できていない可能性がある」と考察した。
植物コース4年の工藤ほのかさん(22)は、植物の根に感染する菌である「菌根」について研究。大学周辺の7カ所から11の植物とその土壌を採取し、菌根形成状況と土壌成分を調査した。その結果、土壌全般でリン酸が欠乏、40~80%が菌根菌に感染しており、先行研究と同等の結果が得られた。
シロツメクサは硝酸やカリウム含有率が異なる土壌でも同様に感染しており、「硝酸やカリウムは感染に影響を与えていない」と考察した。
動物コースでは、牡鹿半島でのニホンジカの衝突事故の発生要因や、金華山島でのヒメネズミの生態などを調査した研究が発表された。
ポスター発表会は2月24日、新型コロナウイルス禍の影響で4年ぶりに対面で行われた。内容やポスターの見やすさなどからコースごとにポスター賞が選ばれた。
受賞作は以下の通り。
▽海洋生物コース
大見川遥「『海のダンゴムシ』はなぜ丸くなるのか?~球体化による捕食回避機能の評価~」海洋ベントス学研究室(阿部博和准教授)
▽動物コース
成田歩「糞虫類による二次散布がニホンザルに散布された種子の発芽に与える影響」動物生態学研究室(辻大和准教授)
▽植物コース
円谷圭一郎「ミヤマオダマキの草丈に影響を与える環境要因」植物発生遺伝学研究室(中川繭准教授)