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<音紡ぎ(43)> 北へ 彼方へ

 勤務している大学の裏手に沼がある。毎年冬になると、白鳥たちが集う。林の木々に遮られて姿は見えないが、鳴き声からすると、けっこうなにぎわいだ。

 白鳥の声は割に野太い。容姿とはミスマッチにも思えるが、凍(い)てついた夜、研究室から出た時に聞こえるその響きは、疲れた脳細胞を心地よく振動させてくれる。

 北…

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