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<記憶の素描(32)芥川賞作家・石沢麻依>小さな火曜日の声

イェーナ大であった反戦デモ

 電話が鳴った瞬間、黒っぽい髪に白いシャツ姿の少年が、素早く受話器を取り上げる。別の子供が、電話ボックスから連絡をよこしたのだ。生真面目にメモを取る少年を、机の上に座る黒いダックスフントがじっと見守っている。報告が終わると、2人はそれぞれ同じ言葉を口にする。「合言葉はエーミ…

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記憶の素描

 仙台市出身の芥川賞作家石沢麻依さんのエッセーです。ドイツでの生活で目にした風景や習慣の妙、芸術と歴史に触発された思い、そして慣れ親しんだ本や仙台の記憶を、色彩豊かにつづります。

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