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あなたの街のアイドル【特集】猫めぐり

《繁華街で地域猫見守る》 ~日本ネコスク(青葉・一番町、国分町)~

愛猫家で日本ネコスク理事の井上規夫さん。ネコスクは一番町の144ニュー白津パーキングを集合場所にして活動する
シェルターハウスを回り清掃や餌やりをするボランティアの伊藤昇さん(白津パーキング勤務)。シェルターハウスは市販のコンテナボックスの内側に断熱材を貼るなど改造している
飲食店など15店に設置している募金箱。活動資金に充てている
地域猫のトラくん

 北は定禅寺通、南は広瀬通、東は東二番丁通、西は晩翠通に囲まれた青葉区一番町4丁目と国分町2丁目。東西約450m、南北約400mのエリアをモデル地区として地域猫の見守り活動を展開するのは、ボランティア団体「日本ネコスク」だ。地域と猫の共存を目指し、2020年に組織した。

 「コロナ禍で街から人の姿が消えた。繁華街で地域猫の見守りをしていた人がいなくなってしまうと思い、愛猫家が集まりました」。ネコスク理事で不動産管理会社を経営する井上規夫さんは振り返る。

 メンバーは理事7人、ボランティア30人。一番町4丁目、国分町2丁目には約30匹の地域猫がいる。増えすぎないよう、いったん保護して避妊や去勢手術、寄生虫駆除などを施す。餌をやるときは皿にのせ、一定時間が経過したら回収する。道路が汚れたり、虫やカラスが寄ってきたりするのを避けるためだ。

 冬も安心して眠れるよう、関係者の許可を得てビルや商店の裏などにシェルターハウスを30個設置。「猫は縄張り意識が強いので、一定の間隔を保って置いています」と井上さん。見守り活動をする中で、ビルとビルの間の掃除も心がけており、地域の人から喜ばれているという。

 街行く人たちは地域猫に好意的だが、中には気に入った猫を持ち去ろうとする人も。井上さんは「地域猫を温かく見守ってほしい」と話す。

【DATA】
TEL022-281-8469

日本ネコスク

《飼い猫 手厚く葬る》 ~猫塚古墳(若林・南小泉)~

猫塚古墳。奥にほこらがある猫塚古墳。奥にほこらがある

 若林区南小泉の住宅街、少林(わかばやし)神社境内に「猫塚古墳」と記された木柱が立つ。開発などにより姿はとどめていないが、前方後円墳だったとされる。

 「猫塚」の由来は伝説にちなむ。侍の妻が用便に立つたびに飼い猫がまとわりつく。怒った侍が猫の首をはねると、首は便所の天井の方へ。見ると猫の首は大蛇の喉に食いついていた。猫が危険を知らせようとしていたことに侍は気付き、塚を造って手厚く葬ったとされる。

 神社脇のほこらには、大小さまざまな招き猫がおさめられていた。猫塚の神様なのだろうか。

《通行人に悪さ》 ~猫坂(青葉・大手町)~

かつて猫坂と呼ばれたとみられる坂道

 かつて「猫坂」と称された坂道があった。仙臺傳説集(1949年、仙台市役所発行)などによると、大町(青葉区)から広瀬川に架かる大橋に向かう大坂の中ほどから花壇の方へ、崖に沿って下る大手町の坂に大きな猫がいた。猫は通行人をばかにしたり、悪さをしたりしたので猫坂と呼ばれるようになったという。

 古い地図と突き合わせると、写真の辺りだろうか。戦前は坂の下に料理屋があったという。近くの西公園周辺で猫をよく見かける。大猫の子孫がいるかもしれない。

《陶器に耳、足、尻尾》 ~kijin(川崎町)~

酒ポット(左、5500円)とマグカップ(3300円)。カップの持ち手部分は尻尾をデザインした
香立ては1つ3960円

 マグカップ、花入れ、酒器などの陶器が工房に並ぶ。どれも猫がモチーフで耳、足、尻尾が付いていて、シルエットは猫っぽい。猫をテーマにした催事に参加すると、愛猫家から「こんな作品は見たことがない」と感心する声が寄せられるという。

 制作するのは川崎町で陶芸工房「kijin(きじん)」を主宰する相澤智美さん。食器の他、花器や陶板、香立てなど40~50種類の作品を手掛け、主に催事で販売する。

 滋賀県で信楽焼の修業を積んだ相澤さんは長年、一般的な食器を主に作ってきたが、東日本大震災を機に猫をモチーフにした作品づくりに切り替えた。「猫は生活の中に当たり前にいる存在」と相澤さん。「同じ猫がいないように、私の作品も同じものはない。違いを楽しんでほしい」と期待する。

相澤智美さん
問い合わせなどはこちらから

《とんぼ玉でアクセサリー》 ~颯々工房(宮城野・鶴ケ谷)~

足跡を付けてすりガラス状に加工した「足あととんぼ玉」。ストラップ(左)が1100円、ネックレス1650円 
表情が愛くるしいピアス。3300円

 宮城野区鶴ケ谷に工房を構える「颯々(さっさ)工房」。動物やこけしなどをモチーフにとんぼ玉の制作を手掛ける中で、最も人気があるのが猫シリーズだ。

 とんぼ玉の多くは直径15㎜前後。金具やひもなどを通してイヤリング、ネックレス、ストラップなどとして販売する。猫の目やひげなどはペイントではなく、極めて細い色付きガラスを溶かして描く。工房を主宰する豊原さやかさんは「擦れても色落ちしません」と説明する。

 目の大きさ、耳や口の形によりどれも微妙に表情が異なる。「うちの子(猫)に似ているから」と買っていく人もいるという。値段は1000円台から3000円台が中心。

 とんぼ玉作りの体験(要予約、午前中のみ)も受け付けている。豊原さんは「幅広い年代の人に、お気に入りのとんぼ玉を普段使いしてほしい」とPRする。

豊原さやかさん

【DATA】
宮城野区鶴ケ谷4-3-12
営/13:00〜17:00
休/日・月曜。臨時休あり

体験教室や午前の来店予約などはこちらから

《プリンの上にちょこん》 ~ケーキNao(青葉・中山)~

チョコレートの猫がのるプリン

 猫がふわふわの泡の中から顔を出しているよう。ショーケースに並ぶのは、生クリームの上に猫のチョコレート菓子をちょこんとのせたプリン(350円)。ケーキNaoの店主が半年ほど前、かねて作っていたプリンを遊び心でアレンジした。子どもから大人まで幅広い年代に好評という。

 5種類ある猫の中から「指名」して購入する人もいるという。口溶け滑らかで、カラメルは苦みが少なく優しい味わい。猫がかわいらしく、食べるのにちゅうちょしてしまうのが難点だ。

【DATA】
青葉区中山1-11-5-101
TEL022-277-7351
営/10:00〜19:00
休/水曜

《肉球スイーツなど10種類》 ~カワカフェ(丸森町)~

左から肉球くず餅バー、バターサンド、ケーキ缶

 かつて養蚕が盛んだった丸森町で、蚕の敵であるネズミを駆除する猫は神様的存在だった。「猫神様」と刻まれた石碑が多く残る丸森町で、猫をモチーフにしたスイーツの製造販売を手掛けるのがカワカフェだ。

 店頭に並ぶスイーツは10種類。通年商品はケーキ缶(750円)、丸森特産の干し柿入りで優しい味わいが人気のバターサンド(300円)など。4~10月の季節商品として、足の裏に肉球をかたどった「肉球くず餅バー」(400円)などをそろえる。店主の星野知宏さんは「猫好きの人のための、猫神様スイーツです」と笑顔で話す。

【DATA】
丸森町舘矢間木沼字木沼町7
営/水~金曜、10:00〜16:00

問い合わせなどはこちらから

《譲渡会、7月ごろから開催》 ~市動物管理センター~

 仙台市動物管理センター(アニパル仙台)は保護した猫の譲渡活動を展開している。2023年度は子猫91匹、成猫32匹を譲渡。子猫、成猫とも譲渡会の他、希望する人には随時譲渡している。毎年、保護される子猫が増える7月ごろから12月までの毎週金曜に譲渡会を開催している。

 譲渡を受けるには事前にセンターのチェックリストに必要項目を記入し、提出することなどが条件。担当者は「WEBサイトや電話で事前に詳細確認を」と説明する。

【DATA】
仙台市動物管理センター
宮城野区扇町6-3-3
TEL022-258-1626
7〜12月は月1回、土曜に譲渡会を開催する予定

猫譲渡についてはこちらから

(河北ウイークリーせんだい2024年6月27日号掲載)

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