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<大観音の傾き(13)>人間からタンポポへ 山野辺太郎

「頭のなかには、あるんですね?」

 天野がゆっくりとうなずいた。
「何枚も?」と修司が問いを重ねる。
「初期の案から、いろんなものがあってね。どれが着工時のものだったか……」

 と言って天野は、頭のなかの図面を頼りに語りだす。当時、金ならあったのだ。大観音の事業を推し進めるうえで、豊富な資金を活(い)かして…

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