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「屋内遊び場」仙台市長は素っ気ない答弁 市議会論戦、市議は整備迫る

代表質問で市議らが県内のモデルケースとして取り上げた宮城県白石市のこじゅうろうキッズランド。仙台市から多くの家族連れが訪れる=4月

 仙台市に無料で遊べる大型の屋内遊戯施設がないことを巡り、25日閉会した市議会6月定例会で論戦が繰り広げられた。市議たちはあの手この手で市の前向きな言葉を引き出そうとしたが、「子育てが楽しいまち」を掲げる郡和子市長は「多角的検討を進める」と素っ気ない答弁に終始した。本会議での質疑をあらためて振り返った。(せんだい情報部・小木曽崇、菊池春子)

子どもの遊び場求め、仙台市民が苦渋の「遠征」 市内には公設の大型屋内施設なし

予定は示さず

 「『検討、検討』といつまで検討するつもりなのか」。猪又隆広市議(自由民主党)は18日の一般質問で、持ち時間の多くをこの問題に割いた。

 昨年、改装オープンした神戸市の大型児童センター「こべっこランド」は屋内外の大型遊具を無料で使えるほか、発達支援にも力を入れることを紹介。「子育てに優しいまちをつくろうという神戸市長の英断。同じ政令市である仙台市でもできる」と迫った。

 だが郡市長は「整備手法や管理運営手法に加え、民間の動向も踏まえ、さまざまな観点からの検討が必要で、一定期間を要する。現時点で検討スケジュールを明確に示せる状況にない」と消極姿勢を崩さない。

 これまで何度も市の考えをただしてきた猪又市議は「今要望している子育て世代(の子)がどんどん大きくなってしまう。屋内遊び場を造る視点があるか疑わしい」と首をかしげた。

代替は可能?

 市が答弁で頻繁に主張したのは、既存の施設や取り組みの存在だ。遊び場を備えた子育て支援施設「のびすく」、屋外公園の「プレーパーク」があることなどを強調した。ただ、規模や役割などが大型の屋内遊戯施設と異なる。

 若林区藤塚地区に2026年度オープンする海岸公園には遊び場を備えた屋内施設が整備される予定だが、運営は民間事業者で利用は有料の見通し。納得する市議は少ない。

ニーズ高まる

 子育て世代のニーズを、市も把握している。市が昨年度実施した「子ども・子育てに関するアンケート」では、無料や屋内の施設を求める声が多数集まった。郡市長は「天候に左右されない屋内遊び場に対する期待の高まりを感じている」と神妙な表情を見せた。

 それでも市の姿勢は変わらないまま。若手、中堅市議は「これまでも多くの議員が遊び場を求めてきたが開設する気配がない」(市民フォーラム仙台の貞宗健司市議)などといら立つ。

 大型の屋内遊び場の整備を求め、子育て中の保護者らがつくる市民団体「AsoVi-Va(あそびーば)みやぎ」の中川香苗代表は「ニーズを把握しながら今後の見通しなど具体的な話が出てこないのは残念。近年猛暑が続き、屋外で遊ぶのが厳しい期間が長くなっている。諦めずに訴えていきたい」と述べた。

県民会館やアリオの跡地… 候補地に多様な提案

 市議たちは整備候補地について多様な提案をした。大河原芙由子市議(せんだい自民・参政の会)は「周辺エリアの活性化、回遊性を考え、(廃止予定で青葉区にある)市民会館、(青葉区から宮城野区に移転予定の)県民会館の跡地利活用も考えられる」と投げかけた。

 安孫子雅浩市議(市民フォーラム仙台)は「(1月に閉店した大型商業施設の)アリオ跡の利活用は泉区泉中央地区の活性化の一丁目一番地。子どもの遊び場、屋内プレーパーク整備を求め続ける」と強調。佐々木心市議(自由民主党)は、27年に予定される太白区の秋保小、馬場小の移転統合に伴って空き校舎となる両校校舎に整備する可能性を尋ねた。

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