子育てと介護の縁側・今日も泣き笑い(1) はじめに 予期せぬ事態、続く日常
晩婚化や少子高齢化が進み、子育てと同時並行で介護を担う「ダブルケア」に直面する人が増えている。当事者である石巻市の柴田礼華さん(43)に、幼児2人の子育てと、夫の両親の介護に奮闘する日常をつづってもらう。(毎週水曜掲載)
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【石巻市・柴田礼華】
わが家の構成メンバーをご紹介します。
東日本大震災前は画家の傍らお絵描き教室を主宰し、震災後は子ども支援のNPO活動をしている夫48歳。不妊治療の末、結婚11年目に授かった幼稚園年中の長女4歳。これまた不妊治療で授かった次女1歳。元体育教師の夫の父86歳。元看護師の夫の母86歳。山口県出身、剣道の縁で東北に嫁いできた私43歳の6人で生活をしております。
このように家族紹介するだけで「不妊治療」「高齢出産」「高齢者と子どものダブルケア」と今どきの社会問題が満載であることが想像されるかと思います。
■絶えない緊張感
1歳から86歳までの暮らしは、ほのぼのとした癒やしに満ちた時間もありますが、多くの場合は危険や予期せぬ事態が隣り合わせの、常に気を張った状態が続きます。上の子が生まれた時は80代前半だった義理の両親は、4年間のさまざまな加齢による変化で、子どものお世話を頼めることが少なくなってきました。
おじいさん、おばあさん、4歳、1歳が仲良くテレビを見ている貴重な時間に夕飯の支度をすることが多いのですが、ともすれば4歳が「うんちでるー」と叫ぶ。認知症で視覚障害のあるおばあちゃんが「トイレどこー?」とさまよい始める。下の子が眠くなってぐずりだし、おじいさんからSOS。事件は同時多発的に起きることが多いです。
私が生まれ育った実家も、4世代が同居する大家族でした。小さい頃にお風呂の事故で障がいをもった妹をはじめ、曽祖父母や祖父母が晩年にお世話が必要になった時も、福祉サービスを利用しながらも基本は家族が自宅で介護する暮らしを経験してきました。ですので、介護がどんなもので、何が大変かというのは割と経験してきたつもりでした。
■支援制度を活用
しかし、当時の介護の主体はあくまでも母や元気だった頃の祖母が担っており、私はサポートする立場。私たち夫婦が介護プラス乳幼児の養育をする責任者である現状は、プレッシャーが全く違うと感じています。「誰一人けがさせちゃいけない。死なせちゃいけない」と思うと毎日ものすごく疲れます。
幸い、子育てが一段落した夫の姉たちが強力な助っ人として、介護も子育てもサポートしてくれています。加えて、夫も私も子ども・子育て支援の仕事をしてきたおかげで、いろんな支援制度を知り、支えてくれる人々と出会えたことで、本当にたくさんの人のお世話になりながら日々を過ごしています。
まさに涙あり、笑いありの柴田家の人々の暮らしをご紹介しながら、家族の在り方や、介護にどのように向き合っているかを知っていただけたら幸いです。(柴田礼華)