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<大観音の傾き(21)>きっと誰だって押してみたくなる 山野辺太郎

 修司と沢井はエレベーターに乗り、胎内をまっすぐに上昇してゆく。修司は手のひらに載せた鍵を見つめていた。自身の住むアパートの鍵にも似た変哲のないものだった。エレベーターが止まり、ドアがひらいた。

 こぢ…

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