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抜け落ちた羽根、毛玉…で珍商品 ファンの心をわしづかみ 飼育員が発案 仙台・八木山動物公園

 仙台市八木山動物公園フジサキの杜(太白区)で、動物から抜け落ちた毛や羽根などで制作したグッズ「キーパーズコレクション」が人気だ。飼育員(キーパー)ならではの発想で生まれた珍しい品々はコアなファンの心をくすぐり、売り上げは5年間で約3倍に上昇。飼育動物のストレスを軽減する設備や器具を導入する財源に充て、動物の暮らしを豊かにする「環境エンリッチメント」の面からも注目されている。(せんだい情報部・吉田ちひろ)

アフリカ売店に並ぶキーパーズコレクション=仙台市八木山動物公園フジサキの杜

 ラクダやヒツジの毛玉のキーホルダー、ヘビの抜け殻を貼ったしおり、クジャクやハクチョウの羽根を付けたペン…。現在のラインアップは約10種類。園によると、ウサギやロバなどの毛を詰めたミニボトルが好評という。

 発案者は飼育展示課の高田頌子(しょうこ)さん(33)。「ふれあい館」のオープンに合わせて新たな試みを検討する中で、日常的に捨てていたヒツジの毛などを材料にオリジナルグッズを作ろうと仲間に持ちかけると、アイデアが次々と寄せられた。

 園から管理業務を受託する市公園緑地協会も後押しし、2017年4月に発売。売り上げは19年度が約30万円で、コロナ禍で一時減ったものの、23年度は約85万円に達した。

 高田さんは「来園者が買って広めてくれたおかげで、少しずつ認知度が上がっていった」と振り返る。

動物がかじった枝で作ったキーホルダーを手にする高田さん。手前左がウサギなどの毛を詰めたミニボトル、手前右はフラミンゴの羽根を使った装飾品

 飼育員らは18年度に材料費などを除いた収益を使い、動物が野生に少しでも近い状態でいるための環境づくりを始めた。ロープにぶら下がって遊べるテナガザルの遊具、カピバラの雨よけを手作りしたほか、暑さ対策の扇風機やスマトラトラがかじるおもちゃを購入した。

 飼育員が企画した商品を収入源とし、動物の環境充実を図る意欲的な取り組み。高田さんは「動物を身近に感じてもらい、園を気軽に支援できる体制をもっと整えていきたい」と目標を掲げた。

 価格は120~1300円。アフリカ売店を中心とした園内の限定販売。材料が入り次第制作するため、品切れの場合もある。

 連絡先は市公園緑地協会事業課O22(229)1606。

キーパーズコレクションの収益を活用して手作りしたカピバラの雨よけ(左奥)

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