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苦境の「秋田犬」救いたい 秋田の法人がCFで餌代など募る 国内新規登録数はピーク時の1割以下

かみつき事故を起こして飼育放棄された雌の秋田犬「りんご」。訓練を経て穏やかな表情を取り戻した=秋田市

 国の天然記念物に指定されている秋田犬の国内での飼育数が減り続けている。秋田犬保存会(秋田県大館市)が集計した2023年の新規の国内登録数は1800頭台と、記録が残る1971年以降で最少となった。飼育放棄や殺処分が後を絶たず、民間団体は秋田県と共に保護犬3頭の飼育費をふるさと納税を活用したクラウドファンディング(CF)で集めている。(秋田総局・高橋諒)

飼育放棄や殺処分が後絶たず

 秋田犬の血統書を発行する保存会によると、23年の新規登録数は1832頭と、前年の2185頭から353頭減った。ピークだった1972年の4万6225頭に比べ、50年間で1割以下にまで減った。

 県原産の秋田犬は体高約60センチ、体重約30~50キロに成長する大型犬の一種。国内では住宅環境の変化により小型犬の需要が増えているほか、繁殖を手がけるブリーダーの高齢化と後継者不足が頭数減に追い打ちをかけているという。

 県と一般社団法人「ONE FOR AKITA」(秋田市)は7月、保護した秋田犬について次の飼い主への譲渡や施設での終生飼育を目的に、ふるさと納税のポータルサイト「ふるさとチョイス」で寄付金を募るCFを開始した。昨年に続く実施で、今回の目標額は200万円。1頭当たり月10万円かかる餌代や医療費などに充てる。10月23日まで。

 同法人は2018年、秋田犬の保護を目的に設立された。これまで適切な訓練を受けずに飼い主以外をかんだり、見た目が良くないという理由で山に遺棄されたりした9頭を保護。うち4頭を譲渡し、現在は6~11歳の4頭を飼育する。比較的若く、譲渡可能性が残る3頭がCFの対象だ。

 マタギが連れていた狩猟犬が源流の秋田犬は、飼い主への忠誠心が高く「ワンオーナードッグ」とも呼ばれる。相性の合う飼い主とのマッチングが難しく、全国の保健所などで殺処分される事例が後を絶たない。

 同法人のチーフドッグトレーナー鈴木明子さん(63)は「手をかけた分だけ愛情で返してくれるのが秋田犬の魅力。しっかりと訓練すれば次の飼い主に譲渡できる」と支援の必要性を訴える。

かみつき事故を起こして飼育放棄された雌の秋田犬「りんご」。鈴木さんの訓練を経て穏やかな表情を取り戻した=秋田市
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