閉じる

<記憶の素描(36)芥川賞作家・石沢麻依>猫靴の行方

 高い棚の上に手を伸ばし、もう少し、とさらに背伸びをする。途端に椅子がぐらついて、あっと声を上げる間にも、身体は床に向かって倒れ込んでいた。とっさに床に伸びた左足が、こきりと嫌な音を立てる。痛みで視界…

関連リンク

記憶の素描

 仙台市出身の芥川賞作家石沢麻依さんのエッセーです。ドイツでの生活で目にした風景や習慣の妙、芸術と歴史に触発された思い、そして慣れ親しんだ本や仙台の記憶を、色彩豊かにつづります。

ライブカメラ