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幼稚園、保育園、認定こども園【特集】「園」選びを考える

 幼稚園や保育所、認定こども園の来春入園・入所の手続きが間もなく本格スタートする。「いい『園』ってどんなところ?」「選ぶときのチェックポイントは?」。施設選びに役立つ情報を集めた。

■迷わないでいたい「園」選び

 幼稚園や保育所の来春入園・入所の申し込みの時期が近づいている。認定こども園や企業主導型の保育所など選択肢は多彩で、どう選ぼうか迷っている人は多いはず。3人の先輩保護者にどうやって園を選んだか、入園後感じたことなどを聞いた。少しでも「迷い」が減りますように。

〇男児2人・フルタイム就業の「まっつん」さんが選んだのは保育所(認定こども園)

事前見学12カ所 「掲示物」に真実が?

元保育士の母から「とにかくたくさん見学しなさい」とアドバイスされ、第1子の時には12カ所見学しました。必須条件は「認定こども園」「日当たりの良い園庭があること」。いくつも見学すると園や先生、園児の雰囲気がだんだん分かってきます。保育時間中に行けなかった園もあったけど、掲示物を見るだけでも雰囲気を感じることができます。古い掲示物が残っていないか、掃除が行き届いているか、先生の服装やエプロンはどうか…などなどです。

多くの子どもの中でもまれて元気に育ってほしいので、最終的には大規模園を選びました。第2子は空きがなく8か月ほど別の小規模園に通いましたが、今は兄弟同じ園です。

 長男はコロナ禍での入園で、人数が多い分、行事の再開は他園より遅かった印象です。とはいえ、他年齢の子ども同士で交流できる「合同保育」はじめ、多くの子どもたちが協力して行事をつくり上げる大規模園ならではの楽しさを感じています。

〇女児1人・フルタイム就業の「ひなママ」さんが選んだのは 認可外保育所

通いやすさ やっぱり大切 「第4希望」が正解だった

 認可・認可外問わず、施設の取り組みを重視して候補を絞り、見学に行きました。第1希望は、自宅からは離れているものの、福祉・介護施設と隣接してさまざまな人と交流できる園。残念ながら入園枠がなく断念。他に裸足で元気に活動してのびのび育つと評判の園も見学しましたが「わが家の育て方には合わないかも…?」でした。

 結局、第4希望だった企業主導型の保育園に通っています。リトミックや英語のレッスンを取り入れた保育と、自宅と職場の中間地点にあり送迎しやすいことが決め手です。ネーティブの先生と関われるチャンスや、外国人のお子さんが通園していて、英語に慣れ親しめる環境にも引かれました。
復職した今にして思えば、第1希望は職場や自宅とは反対方向なので現実的には通わせるのは難しかったかもしれません。働きながら送迎するリアルなイメージを持つのも大事ですね。

〇男児3人・専業主婦の「あっくんママ」さんが選んだのは 幼稚園(認定こども園)

「支援センター」利用して 園の活動を仮想体験

 友人から誘われ、未就園児向けの遊び場に行ったことがきっかけでした。他園の未就園児クラスに通ってもいたのですが、自然いっぱいの広い園庭で遊べる環境を親子とも気に入って選びました。

 1~2歳児の頃は、保育所や認定こども園で開設される市の「地域子育て支援センター」をよく利用しました。園の先生が実際に子どもの相手をしてくれるので、在園児の様子や先生が子どもとどう接するかが分かります。他にも夏祭りやバザーなど一般開放されている園イベントに参加してみると、園の雰囲気が分かるように思います。

 入園後は、保護者の関わる行事が思いのほか多くて驚きました。行事などへの保護者の関わり、保護者同士の関わりは保育所より深いのかもしれません。弟たちは当然のように同じ園に入園しましたが、次男は泥だらけになるのが嫌なタイプで、行き渋る時期がありました。長男には合っていたけど次男には難しい部分もあったようです。兄弟みんなに合うところを探すのは難しいですね。

■ある園の一日 ※時間は目安。園の方針や認可、認可外など条件によりさまざま。認定こども園の場合は「幼稚園として利用」「保育所として利用」で変わる

■幼稚園、認定こども園、保育所って?

 大まかにまとめると、保育所は就学前の乳幼児を保育する施設、幼稚園は3歳から就学前までの児童を対象とした施設、認定こども園は前記2施設を一元化した施設—となる。長時間「保育」する幼稚園も増えており、利用者側には違いを感じにくい場合もある。保育料などは保護者の所得に応じ変わる。詳細は居住する自治体や各園に問い合わせを。

■保護者OGびっくり 最近の保育

10年以上前に子どもを幼稚園s、保育所に通わせていたライター幸と担当編集は、現役保護者から聞く最新保育事情にびっくり。「昔はこうだったよね」と盛り上がったものを紹介します。

▶アプリで写真注文
 壁に並ぶ写真からわが子を探し出し注文票に記入していたが、送迎時に急いで注文するので、間違えて他の子の写真を買うことも…。家でゆっくり注文できるなんてサイコー

▶オムツのサブスク
 かつてはマジックでオムツに名前を書いて毎日8枚程度持参し、プチ負担感があった。有料だが園で自動的に補充される「サブスク」はラク!

▶園バスがどこにいるかアプリでお知らせ
 雪が降って寒い中「まだ来ないね」と震えながら親子で待った園バス。今はGPSでどこにいるか分かるんだって!

▶連絡帳やおたよりはアプリで
 アプリでの欠席連絡は便利。病気の子どもを病院に連れて行きつつ電話するのは微妙に大変だった…

■宮城教育大特任教授 小野真喜子先生に聞く

宮城教育大教育学部 特任教授 小野真喜子さん。宮城教育大の幼稚園教員養成課程第1期生。2人の子どもを育てながら幼稚園に28年間勤務、在職中に同大学院修了。聖和学園短大教授などを務め、保育者育成に携わる。2021年から現職。仙台市出身

 28年間の幼稚園勤務を経て、現在は宮城教育大で保育者志望の学生を指導する小野真喜子先生に、園選びのこつや保護者へのアドバイスを聞いた。

園内連携に注目、頼りやすい園選んで

 ―園選び、まずは何をすれば?
 ぜひ園見学をしてみてください。施設に事前連絡をして行けば、外遊びや送迎の様子など普段の様子を見られるはずです。運動会など一般の方が入れる行事を見るのもお勧めです。過去には、運動会を見学して「応援している子どもたちの様子がよかったから」と入園を決めた保護者もいらっしゃいました。先生方の声掛けや子どもたちの様子など「素顔の雰囲気」が分かるかもしれません。

 ―見学のチェックポイントは何でしょう?
 子どもと接するのは保育者である園の先生方です。先生同士のコミュニケーションが取れていて、園全体の情報共有がされていることがとても大事です。職員室の雰囲気や先生同士の会話から、感じられるものがあると思います。若手からベテランの先生まで、各年代の先生が在籍しているのが理想的ではあります。また、預かり保育や外部の習い事の先生がいる場合に、そうした先生方との情報共有がしっかりされている園だと安心です。

 ―「お弁当や園行事」に不安を感じる保護者は少なくありません。

 現代は保護者がとても忙しくなっています。行事が多くないとか給食の有無も園選びの条件となることもあるようです。ただ、親子ふれあい遊びがあったり、たまに手作り弁当の日があったり(お弁当作りは大変ですが…)と、保護者の「頑張り」は、後で振り返った時に「大変なこともあったけど、楽しかったなあ」と思えることもあるはず。園生活を、愛情を伝える新しい機会だと考えてみては。

 ―子育て中の保護者にメッセージを。

 1人目のお母さんになるのが初めてなら、2人の子どものお母さんも初めて、この考えで行くとずっと人生初めてが続きます。みんな初めてなのだから気負わなくていいし、園の先生方に相談し、いっぱい頼っていいと思います。そして何かしてもらったら「ありがとう」と感謝を伝えましょう。そういう一言や心の余裕が大切だと思います。

(河北ウイークリーせんだい 2024年9月26日号掲載)

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