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実行委員が集結【特集】大学学園祭に行こーよ

 秋の深まりとともに、学園祭シーズンがやってきた。各大学では学生だけでなく地域住民にも楽しんでもらえる企画が進行中だ。編集部は、仙台市内6大学の学園祭実行委員会による恒例の座談会を開催。準備・運営のやりがいや苦労を
存分に語り合い、連携企画のアイデアも飛び出した。

※参加大学/聖和学園短大、仙台白百合女子大、東北工大、東北福祉大、東北文化学園大、宮城学院女子大

 残暑厳しい8月下旬、6大学から15人の学園祭実行委員が集結。まずは2グループに分かれ、編集部が用意したテーマについて熱く意見を交わした。

■Aグループ:話そう 実行委員会あるある

苦労話も笑顔で話すメンバー

《つらい経験 良い思い出に》

Aグループに用意されたテーマは「実行委員会あるある」。

 司会の東北工大・菊池翔太さんが「直前に焦り始めるってあるよね」と切り出すと大きくうなずく一同。「企画を欲張りすぎて準備が当日までかかった」(仙台白百合女子大)、「直前にパンフレットの間違いが発覚、総力戦で訂正紙を挟み込んだ」(宮城学院女子大)、「発注した保冷剤が届かず、大慌てでスーパーに走った」(東北文化学園大)、「パンフレットの印刷がギリギリになって本当にヒヤヒヤした」(聖和学園短大)と、ドタバタエピソードは尽きない。

 学生自ら協賛金を集める大学は、「知らない企業に電話をかけるのはすごく緊張する」(宮城学院女子大)、「200社にお願いして協賛してくれるのは30社程度」(聖和学園短大)と苦労が多いようだ。しかし、経験を積む中で「実行委員のアルバイト先にお願いすると案外良い返事をもらえる」(東北福祉大)、「お金以外に協賛品の枠も設けると反応が良くなった」(東北工大)と工夫も生まれている。

 「コロナによる中止期間があってノウハウが引き継がれていない」、「連絡用のインカムがうまく使えない」、「頑張って張った装飾がはがれる」(いずれも複数大)など、ほぼ苦労話の披露で終わった「実行委員会あるある」。同志とつらい経験を共有できたからなのか、不思議とどの顔も明るかった。

Aグループの司会を務めた東北工大の菊池翔太さん
あるあるについて話したAグループ

■Bグループ:6大学で共同企画を考えよう

Bグループの司会を務めた東北福祉大の石岡由野さん
編集部のむちゃぶりに応えたBグループ

《アイデア次々 進んだ連携》

 Bグループのテーマは「6大学連携」。「せっかくだから共同企画を立ち上げてみよう」という編集部のむちゃぶりに、戸惑い気味の参加メンバー。

 「募金してくれた人に色とりどりの羽を渡してボードに張ってもらい、6大学分のボードを合わせると1枚の大きな絵になるといった企画はどう?」。司会を務めた東北福祉大・石岡由野さんがアイデアを出すと議論が進み始める。

 「受付だけで対応できるから余分な人手は不要だね」、「シールやペットボトルのキャップを使ってみては」、「集まった募金は能登の被災地に送りたい」、「デザインは東北工大が担当して」と次々に出る意見。

 「もっと早い時期に話し合えていたら、本当に企画が実現できたのに」。編集部に座談会の開催時期見直しを求める声もあがった。

 続いて、東北文化学園大が「SNSのフォロワーが増えない」と悩みを明かすと、東北福祉大が「共通アカウントをつくって6大学の情報をまとめて発信しよう」と提案。仙台白百合女子大からは「WEBサイトの方が年配の人も見やすいかも」と建設的な意見も。

 議論の終盤、「まずこのメンバーでLINEグループをつくろう」と東北工大が提案すると、全員がスマホを取り出し素早く連絡先を交換。さすがデジタルネイティブ世代、編集部の想像を超える速さで連携が進行していった。

LINEの登録をするBグループ

■あの大学に聞きたい「あんな事」「こんな事」

《なり手不足が共通の悩み》

 3つ目のテーマ「他大学に聞いてみたいこと」については全員が集まり語り合った。

 事前アンケートで関心が高かったのは、組織づくりや活動内容について。いつから活動を始めるかを聞くと、「前年の学園祭後にすぐ次年度の役員を決め、動き始める」(東北工大)、「4月に顔合わせをして徐々にボルテージを上げる」(東北文化学園大)などそれぞれ。

 大学によって会計や広報、装飾、企画などさまざまな部署があり、全体の規模は「30人くらい」(仙台白百合女子大)から「約200人」(東北工大)と差が大きい。

 委員のなり手不足や途中で辞める人の多さは共通の悩みで、「新入生説明会で熱烈にアピール」(東北福祉大)、「入った人が楽しめるように毎月イベントを開く」(東北工大)など策を練る。聖和学園短大のように「クラスから必ず委員を出すことになっている」という例もある。

 「連絡メッセージは絵文字や話し言葉を使って、新入生に親しみやすく」(宮城学院女子大)は女子大ならではの工夫か。仙台白百合女子大は「実働部隊はごく少ないけど、仲良くなるからむしろ動きやすい」と少数精鋭をポジティブに捉えていた。

《実行委員の活動で役得も》
 実行委員会に入った動機を尋ねると「大学の4年間を思いっきり充実させたかった!」(東北福祉大)と自ら飛び込んだ人の他、「先輩に誘われてなんとなく…」(東北文化学園大)と“巻き込まれ型”の人もいた。

 活動して良かったことは「学部学科を超えて友達が増える」、「学内外の大人との交渉や事務連絡が社会勉強になる」といった声が多かった。仙台白百合女子大が「ゲストの芸能人と直接会えたり、サインをもらえたりするのは役得」と話すと、「そうそう!」と他大学から共感の声が続々。実行委員のミーハーな一面が垣間見えた。

■宮城ゆかりの難問・珍問 クイズ大会に挑戦

難問に戸惑うメンバー

 座談会の後は〇×クイズ大会。宮城県ゆかりの難問・珍問に頭を悩ませた。

 個人戦は、迷いのない判断で突き進んだ東北文化学園大の佐々木春輝さんが優勝。「ほとんど当てずっぽう。ギャンブルに強いのかな」とおどけつつ、豪華景品を手に入れた。

 続いて団体戦は。「河北ウイークリーせんだいの発行は木曜日である?」というサービス問題に、半数以上が不正解という少し寂しい現実を突きつけられる一幕もありつつ、王者に輝いたのは東北福祉大チーム。地元プロ野球に関する最終問題に正解した岡本優介さんは、「野球部出身なので楽勝でした!」と輝く笑顔でインタビューに答えた。

個人戦を制した東北文化学園大の佐々木春輝さん
団体戦を制し豪華景品をゲットした東北福祉大チーム

(河北ウイークリーせんだい 2024年10月3日号掲載)

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