捕鯨船・第16利丸が「ふね遺産」に 宮城・石巻のホエールタウンに展示
石巻市の牡鹿地区拠点エリア「ホエールタウンおしか」に展示されている捕鯨船「第16利丸(としまる)」が、日本船舶海洋工学会の「ふね遺産」に認定された。戦後の捕鯨最盛期に活躍した歴史的価値が評価された。県内では同市の県慶長使節船ミュージアムに係留され、解体された復元船「サン・ファン・バウティスタ号」に続き2件目で、現存船では初めて。
ふね遺産は歴史的で学術、技術的に価値のある船舶や関連設備などを認定する制度。今年で8回目で、認定されたのは現存船や非現存船、建造施設、研究設備、造船関連資料など計51件となった。
第16利丸は1958年、山口県で建造された。捕鯨船団で使用された大型キャッチャーボートで、国内に現存する2隻のうちの1隻。南極海などで約30年操業し、90年に開館した牡鹿地区の観光施設「おしかホエールランド」の展示船になった。
全長約68メートル、幅約9・9メートル。銛(もり)を撃ち込みやすいように船首を高くした独特の構造で、マストにはクジラを探す見張り台がある。
東日本大震災の津波では流失を免れたが、ホエールランドは全壊し、乗船展示も中止になった。市は再建したホエールランドを2020年7月にオープンさせた。乗船公開は船体の塗装や修繕を施し、21年11月に再開した。
市牡鹿総合支所地域振興課の担当者は「認定は捕鯨の町のPRにつながる。利丸にも興味を持ってもらい、観光客を増やしたい」と話した。
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