岩手山で噴火警戒レベル2に引き上げ 火口周辺の立ち入りを規制
岩手県八幡平市などにまたがる岩手山で地殻変動が続き、西側で小規模な噴火が発生する可能性があるとして、仙台管区気象台は2日、岩手山の噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)に引き上げた。
気象台によると、岩手山で噴火警戒レベルが導入された2007年12月以降、引き上げは初めて。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の衛星「だいち2号」のレーダーで9月26日に観測したデータを国土地理院が解析した結果、大地獄谷付近が最大数センチ隆起していた。地表から数百メートル付近のごく浅いところで山体が膨張しているとみられる。
岩手山周辺では今年2月ごろから地中深くで山体膨張が観測され、5月ごろからは微小な火山性地震が増えていた。山体膨張の推定域が地表に近づいているという。
気象台は大地獄谷や黒倉山、姥倉山を含む西岩手山で小規模な噴火が発生する可能性があると判断。噴火すれば、想定火口から約2キロ以内の範囲で20~30センチの噴石が飛散する恐れがあると指摘。風下側の広い範囲で火山灰や小さな噴石が風に流されて降る可能性もあるとして警戒を呼びかけた。
記者会見した気象台の樋渡秀一火山対策調整官は「地元自治体の指示に従い、危険な地域には立ち入らないでほしい」と述べた。
周辺3市町が入山規制 住民から不安の声
岩手山の噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)に引き上げられたことを受け、岩手県八幡平市と雫石町、滝沢市は2日、登山道を閉鎖する入山規制を始めた。3市町は登山口などに入山禁止を周知する看板を設置し、緊急速報メールで登山者に下山を呼びかけた。
八幡平市は上坊、焼走り、松川、七滝の計4カ所の登山口に看板を設置。市民には警戒レベルの引き上げを知らせる緊急速報メールを流した。市防災安全課の瀬川正雄防災対策専門員は「市民から不安の声が寄せられているが、居住地域では通常通りに過ごして良いと説明している」と話した。
雫石町は御神坂、網張、滝ノ上、奥産道の各登山口と犬倉山分岐の計5カ所に、滝沢市は馬返し登山口に、それぞれ看板を設置した。
噴火警戒レベル2では、気象庁が岩手山が噴火した場合の降灰予報をホームページで公開し、3時間ごとに更新する。
入山規制は、3市町と県が8月の防災協議会で、警戒レベルが2になれば直ちに実施することを確認していた。県は同日、災害特別警戒本部を設置した。
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