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鳴子漆器に新たな定番を 宮城・大崎で県内外の5人がアイデアを競う 中間発表1位は新潟・古寺さん、伝統技法を扇子、うちわに

中間プレゼンでは受講生5人がさまざまなアイデアを披露した=大崎市岩出山

 大崎市鳴子温泉郷の伝統工芸品「鳴子漆器」に新たな需要を生みだすプロジェクトに、同市の「ローカルイノベーションスクール(LIS)」が取り組んでいる。中間発表のプレゼンテーションで、鳴子発祥の技法「竜文塗」を中心に新たな定番商品を作るプランを最優秀に選出。来年3月の最終提案に向けてアイデアを磨く。

 LISは市内のデザイン会社ブルーファームが運営し、地域課題を教材に受講生が解決に取り組む。4月に始まった今回のプロジェクトは県内外の5人が受講し、月1回ペースで現地視察や工人との意見交換、企画の検討を重ねてきた。

 9月21日の中間プレゼンで、5人はそれぞれビジネスプランを発表。岩出山特産の竹細工と組み合わせたアクセサリー、潟沼の龍神伝説にちなんだインバウンド(訪日客)向けブランド、使われなくなった漆器のアップサイクルなど、新たな視点によるブランディングを披露した。

 1位に選ばれたのは伝統技法の竜文塗に着目し、扇子やうちわのギフト向け販売、制作体験を提案した古寺直樹さん(41)。審査員の工人や木工作家から「鳴子で生まれた技法に再注目してくれた」「色の組み合わせでいろいろな表情が出る」と特に評価する声が上がった。

 新潟市でデザイン会社を営む古寺さんは「歴史と伝統を現代にどうアピールするかを考えた。仲間とアイデアを磨き、子どもに自慢できるものを世に出したい」と語った。今後は他の4人の案も取り込みながらプランを練り上げる。

 約400年の歴史を誇る鳴子漆器だが、近年はライフスタイルや容器の変化に伴う需要減少に加え、後継者不足も大きな課題。工人の佐藤建夫さん(73)は「素晴らしい提案ばかりで刺激をもらった。漆産業は低迷しているが、外部から話を聞く機会はあまりない。意見を生かし、魅力を高めて喜んでもらえるような仕事をしたい」と話した。

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