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さよならベガ号 移動天文車が引退、仙台で最後の観望会

ベガ号の前で記念撮影する親子連れ

 仙台市天文台(青葉区)は25日、移動天文車「ベガ号」が引退するのを前に、最後の天体観望会を西公園(同)で開いた。延べ15万人の市民らに満天の星々を届け続けて30年余り。集まった天文愛好家は「楽しい時間をありがとう。長い間、お疲れさまでした」と別れを惜しんだ。

 ベガ号は1993年3月に導入された。長さ8・1メートル、幅2・5メートルのトラック型で、荷台部分に直径20センチの屈折望遠鏡を備えた観測ドームがある。年間約60回の出張観察会を開催。総走行距離は約7万キロだが、近年は車体の不具合が度々生じていた。

 2007年まで市天文台があった西公園の一角に停車したベガ号には、親子連れら延べ約160人が列をなした。七夕ゆかりの織り姫星「ベガ」、観測の好機を迎えた土星などを見ようと望遠鏡を順番にのぞき込んだ。

 家族4人で訪れた大和町の会社員星博之さん(41)は24日もベガ号で観察したものの天候が悪く、最後の観望会にも参加。「思っていたよりもはっきり土星が見えた。子どもたちも喜んでいたので、再チャレンジしてよかった」と話した。

 市天文台を所管する市教委生涯学習課によると、「2代目」の新型車両は2025年度にデビューする見通し。大きさは現行と同規模で、「初代」に搭載した望遠鏡はレンズや周辺部品に傷や摩耗がないため再利用する。

望遠鏡をのぞき込み、こと座のベガを観察する男児

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