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福島・只見で戊辰戦争を伝える着物見つかる 時の封印解かれ、輝く刺しゅう 長岡藩主が滞在の民家

大切に守ってきた着物を広げる大竹さん(新国さん提供)

 戊辰戦争で新政府軍に追われた長岡藩主らの一行が一時滞在した福島県只見町の民家に、藩士が村人へのお礼に置いていったとみられる上質の絹織物が150年以上保管されていた。今年8月、町に寄贈され、来年度に只見町河井継之助記念館で公開される。(会津若松支局・高橋敦)

着物に黒い糸で刺しゅうされた家紋(新国さん提供)

 絹織物は女物の青い着物で、町中心部に住む大竹マツエさん(93)が大切に保存してきた。仕付け糸がそのままのため、誰も袖を通さなかったとみられ、金糸の刺しゅうなど当時の輝きが残されている。3匹のチョウを配した家紋も黒い糸で刺しゅうされている。

 大竹さんは「義母から大事にするようにと言われ、たんすにしまっていた。長岡藩の人から頂いたようです」と話す。町内の実家にも藩士が残した刀と漆塗りのろうそく台があるという。

 1868年1月に鳥羽伏見で始まった戊辰戦争は北越、会津などへと広がり、5月に長岡城が落ちると、藩主、姫、老公、警護の藩士らが会津藩を目指した。越後から難路の八十里越(ごえ)を経て約380人が疲れ切った状態で只見に到着し、村中の家が宿泊所になった。

 今回町に寄贈された絹織物は、寝場所と食事を提供した村人に謝意を示した品々の一つとみられる。

 町文化財調査委員会の新国勇議長は「150年以上口外せずに着物を保管し、長岡藩を大事にする住民の思いに感動した。会津の心だと感じる」と意義を語る。展示の準備とともに、着物の家紋についても調査を進める予定だ。

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