懐かしく新しい【特集】レトロを訪ねて
レトロな内装の飲食店や雑貨の人気が高まっている。年配者には懐かしく、若者には新しく感じるからかもしれない。仙台のレトロを訪ねた。
■古い雑貨や食器 気軽に使って ~サンポフルザッカ(仙台市青葉区木町通)~
カラフルでポップな模様を施したコップや昭和時代の小皿、古いリンゴの木箱で作った棚に収まる。市地下鉄南北線の北四番丁駅近くに店を構えるサンポフルザッカ。古い雑貨を気軽に普段使いしてもらおうと、青葉区川平でSANNPO古道具店の姉妹店として、石川彰烈さん(46)が5月に開業した。
店内には昭和の人形やほうろうのバット、ブリキのおもちゃ、ガラスの瓶や醬油さしなどが並ぶ。青森でリンゴを収穫する際に使う古い根曲がり竹製の籠は、タオルやキッチンでの小物収納にちょうどよさげ。気泡が入るガラス瓶はインテリアにすると癒やされそうだ。
店の周りはオフィス街で駅が近いため、通りすがりの人が立ち寄るという。石川さんは「主婦や若い女性客が多い。小さな店ですが、手頃な値段なので多くの人に楽しんでもらいたい」と期待する。
【Data】
仙台市青葉区木町通2-1-15
TEL070-3226-9519(営業時間内)
営/11:00〜16:00
休/土~月曜・祝日(臨時休あり)
問い合わせは電話またはInstagramのダイレクトメッセージから
■家具や陶磁器など幅広く 製造時期も記す ~道具屋ホリデイズ(仙台市青葉区上杉)~
古道具を扱う店を道具屋と呼ぶ。刀剣や古銭など細分化されている骨董の世界で、家具や陶磁器、ガラスなど幅広く取り扱うので、「店名に『道具屋』を冠しました」と代表の阿部宙太郎さん(32)が教えてくれた。店は父の敏行さんが青葉区宮町で開業。市内での移転や実店舗での営業休止などを経て、2021年に青葉区上杉の現地で再開業した。
店内には年代物のたんすや丸椅子、陶磁器が陳列される。初心者にも分かりやすいよう、製造されたおおむねの時期が添えられている道具も。ガラスや木製品などは時代によって製造技術などに違いがあるので、そこを見分けているのだという。
「お客さんが品定めするときは情報は多い方がいい。古道具には『気難しい』というイメージがあるかもしれないけど、古い物を面白がって生活に取り入れてもらえればうれしい」と阿部さんは話す。
【Data】
仙台市青葉区上杉2-4-1
TEL022-281-9877
営/10:00〜18:00
休/火曜
■回り続けて半世紀 根強い人気 お菓子売り場 ~藤崎(仙台市青葉区一番町)~
百貨店の藤崎(青葉区)本館地下1階グルメワールドで1975年に設置された「回るお菓子売り場」。ぐるぐる回る直径150㎝ほどの円盤型の陳列棚にキャンディー、ゼリー、ラムネなどが収まる。量り売りのスタイルで、ピンクのラベルが付いているのは100gで270円、1個売りの菓子もある。昭和の頃は全国的に多くの百貨店が導入していたが、東北では現在、藤崎を含めて3カ所だけになった。
「設置当初から同じ『売り台』を使い続けています。部品も無いそうなので、きめ細かなメンテナンスが欠かせません」。藤崎プロモーション担当の渡邊桃子さんはこう話す。売り場で取材していると、小さな子どもを連れた親子、年配女性らが次から次へと買っていく。お気に入りの菓子を少しずつ選べるのが、長年愛されている秘訣なのかもしれない。
【Data】
仙台市青葉区一番町3-2-17
TEL022-261-5111
営/10:00〜19:00(金・土曜は19:30まで)
■男児マークの無添加純石鹸 全国に愛用者 ~坊っちゃん石鹸 畑惣商店(仙台市太白区長町)~
きりりと表情を引き締めたレトロなデザインの男児が刻印された固形石鹸「坊っちゃん石鹸」は100年前の製造開始から、天然ヤシ油と牛脂のみを原料とする純石鹸だ。酸化防止剤や香料など添加物は不使用。釜たきから出荷まで60日かける。
無添加で泡立ちもよいので入浴時だけでなく、毛織物の洗濯や食器洗いにも使える逸品。全国に愛用者がいるという。「かつては『釜出し一番』という商品名でした。製造していた会社の解散を受け2009年に事業を承継した際に変更しました」と畑惣商店の担当者。「坊っちゃん」のモデルは1931年に生まれた創設会社の長男という。
「持続可能な社会」が時代のキーワードになる中、坊っちゃん石鹸は人にも環境にも優しい無添加製品として見直されている。レトロな石鹸に時代が追い付いたのかもしれない。
【Data】
仙台市太白区長町3-9-1
TEL022-248-0028
営/9:00〜18:00 土曜、祝日は17:00まで
休/日曜
■コンセプトは「煮売り屋」 御譜代町の人気店 ~和醸良酒○たけ(仙台市青葉区大町)~
仙台城下にあった大町や肴町(現在の青葉区大町や国分町の一部)など6町は、仙台藩祖伊達政宗とともに岩出山(大崎市)から移った由緒ある町で御譜代町と呼ばれた。そんな大町のビル1階で営業するのが居酒屋「和醸良酒○たけ」だ。全国の銘酒をそろえており、左党には知られた名店だ。
格子戸を開けると床は土間風で、和樽で作った椅子が並ぶ。目を引くのは古民家の解体材で造った中2階の座敷で、イメージは屋形船。天井まで1.3mしかないが、「ちゃぶ台を囲み、肩を寄せて飲むスタイルが好評です」と店主の石山健英さん(44)は話す。
店のコンセプトは藩制時代の「煮売り屋」(居酒屋の原形)。歴史・時代小説好きの石山さんが設計士とともに浮世絵などを参考に店づくりをした。最近は店の雰囲気を面白がる若い人の来店が多いとか。「とりわけ土曜は体感的に女子率7割で圧倒的です」と石山さん。煮売り屋の時代なら考えられないことだろう。
【Data】
仙台市青葉区大町2-4-1
TEL022-266-5541
営/17:00〜24:00
休/日曜、第1・3月曜
(河北ウイークリーせんだい 2024年12月5日号掲載)
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