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宮城・亘理署員が地域愛育む、郷土料理はらこ飯の作り方学ぶ<ほっとタイム>

署員に切り身の小骨を除くこつを教える菊地さん(右)

 砂糖としょうゆ、酒で煮たサケの切り身をほぐし、イクラを1粒ずつばらしていく。

 宮城県亘理町にある創業46年の飲食店「菊一商店」。11月20日夜、経営者の菊地一男さん(77)の手ほどきを受けながら郷土料理「はらこ飯」を作る約30人は料理人ではなかった。全員が県警亘理署の署員だった。

 同署は地域の風土を学び教養を高めようと、若手署員向けに定期的に講義「亘理日就(にっしゅう)塾」を開く。はらこ飯作りはその一環で、菊地さんはコロナ禍を経て5年ぶりに講師を担当。「常に仕事に抜かりのない皆さんは、料理の腕も合格です」。調理に励む一人一人に優しく語りかけた。

 菊地さんは県安全運転管理者協会の会長も務め、交通安全功労の表彰も受けた。亘理署の月岡宏樹交通課長は「事故防止の啓発だけではなく、署の活動も長年支えてくれている。署員にとって父親のような存在です」と話す。

 この日、菊地さんと若手署員が作った地元愛たっぷりのはらこ飯は約60食にもなった。半分は折り詰になり、受講できなかった当直勤務者らの胃袋を温めた。(亘理支局・橋本智子)

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