宮城・松島湾の養殖カキが記録的不漁 シロボヤ大量発生で生産量1~2割に落ち込む
松島湾の養殖カキが記録的な不漁に見舞われている。ホヤの一種であるシロボヤが大量発生したことによる成育不良が原因。12月上旬まで生産量は例年の1~2割に落ち込んでいる。毎年開催していたイベントが中止に追い込まれるなど深刻な影響が出ている。(塩釜支局・佐藤駿伍)
手間倍増で赤字
「今年はまるっきり赤字だ」。宮城県松島町の磯崎地区漁業組合の高橋征信組合長(54)はため息をつく。水揚げしたカキの殻には茶色いボコボコしたシロボヤがびっしりと付いている。
高橋さんによると、6~7月ごろから確認され、夏にかけて一気に増えた。シロボヤが殻を覆うように付着することで、カキに栄養が行き届かず、身入りが悪くなっている。
水揚げの際もシロボヤを手作業で剥がさないとかごに入れられず、負担増につながっている。殻に傷も付いてしまうため、殻付きで出荷することも難しくなる。
十分なカキを確保できず、組合は毎年11月下旬に開催していた「松島大漁かきまつり」を中止した。高橋さんは「手間が通常の2倍も3倍もかかった上に、収入なしではやってられない」と頭を抱える。
県水産技術総合センター(石巻市)によると、シロボヤは以前から松島湾に生息していたものの、大量発生した例はない。担当者は「黒潮が沿岸に近づいたことでシロボヤが南の海域から運ばれたことや、海水温の上昇で湾内で生息しやすくなったことが大量発生の原因ではないか」との見方を示す。
今後もシロボヤが発生するようであれば、組合はカキを短時間、お湯に漬けて付着物を取り除く「温湯処理」などの対策も検討している。
「殻に付いたシロボヤが気になる」と風評による買い控えの被害も出ているといい、高橋さんは「味などへの影響はない。消費者には、ぜひ食べて応援してくれればうれしい」と話した。
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