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仙台初売り客足回復 主要店の売上高は前年比4~10%増 人気の福袋は「お手頃」「日用品」

 今年の仙台初売りの概況がまとまった。新型コロナウイルスの5類移行後、2年目の年始商戦とあって、主要店の売上高は前年より4~10%増加し、来店客数も回復傾向が続いた。目玉の福袋は3000~5000円と手頃で、食品や衣料品など暮らしに役立つ商品が人気を集めた。財布のひもは緩んだが、物価高を反映した堅実な消費行動が鮮明となった。(経済部・横山浩之、手代木みずき)

大勢の買い物客が訪れた藤崎の福袋売り場=2日、仙台市青葉区

 藤崎は2、3日に初売りを開催し、売上高は前年を4・8%上回った。来店客数は前年並みだったが、レジを通った客数は2・9%増で、客単価も上昇した。

 福袋は食品を中心に、前年より1000個多い約3万3000個を準備。前年と同様、3000~5000円の婦人服や雑貨、5000~1万円のリビング用品に人気が集中した。

 干支(えと)の「巳(み)」にちなみ、八木山動物公園フジサキの杜(太白区)で蛇と触れ合えたり、脳ドックを受診できたりする企画福袋の売れ行きも好調だった。

 担当者は「お得感のある福袋に初売りへの期待が表れた。福袋を買わなくてもお祭り気分で楽しんだ人も多かったようだ」とみる。

 仙台三越も2、3日が初売りだった。売上高は4・0%増、来店客数は9・0%増。コロナ禍前には届かなかったものの、上々の滑り出しとなった。客単価はコロナ禍前の20年と比べ22・0%増えた。

 福袋は3000~1万円の食品やリビング用品を中心に売れた。豪華で知られる「夢福袋」は、2025万円で販売した住宅への申し込みが6件あった。

 担当者は「今年の正月は暖かく、年末年始が最大9連休だったこともあり、初売りへの関心が高まったのではないか」と推測する。

「前年以上に勢い」

 豪華景品入り「福茶箱」を配ったお茶の井ケ田仙台中央本店(青葉区)は、売上高が前年に比べて10%程度増加。来店客数も宮城県外やインバウンド(訪日客)を含め、5%程度増えた。

 店舗開発部の久保田豪課長代理は「インターネット販売が普及する中でも、前年以上に勢いのある初売りを実感した」と感謝する。

 JR仙台駅周辺の大型商業施設も盛況だった。

 イービーンズ(青葉区)は売上高が約10・0%、来店客数が約6・0%それぞれアップ。バーチャルアイドルの初音ミクのグッズ福袋、落語やキャラクターショーといったイベントが一定の集客効果を発揮した。

 佐藤勝彦総務担当部長は「人出、売り上げともコロナ禍前に戻った。来年はプラスアルファになる新しい企画を考えたい」と話す。

 仙台初売りをよりよくする検討会の土屋勝裕委員長(おおまち商店街振興組合理事長)は「かつては『夢を買う』のが福袋だったが、最近は日用品や必需品など消費者が欲しい物を選んで買っている」と分析する。

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