閉じる

河北新報の創刊128年を祝う 河北新報社が式典、震災報道の意義を強調

創刊128年の記念式典であいさつする一力雅彦社長=17日午前10時5分ごろ、河北新報社

 河北新報社は17日、創刊128周年を迎え、仙台市青葉区の本社別館ホールで記念式典を開いた。創刊以来の社是である「東北振興」「不羈(ふき)独立」の精神を心に刻み、震災の記録と伝承に努め、紙面とデジタルを駆使した情報発信を強化する決意を新たにした。

 一力雅彦社長は式辞で、発生から30年の節目を迎えた阪神大震災に触れ、住宅再建に公費を投入する「被災者生活再建支援法」などの実績が東日本大震災や能登半島地震からの復旧復興に大きく寄与していると指摘。被災地の新聞社として「震災の教訓をどう伝えていくのか、阪神から学ぶことはこれからもたくさんある」と力を込めた。

 震災の記録と伝承の重要性を改めて指摘。「防災ワークショップ『むすび塾』、大学生らが対象の『次世代塾』、中学生が対象の『かほく防災記者』で今後も担い手の育成に力を注いでいく」と誓った。

 一力社長はソーシャルメディアの普及、人工知能(AI)の発展といった情報産業を取り巻く環境の変化にも言及。「確かな情報が私たちの原点。これを時代に適した方法で磨き上げていきたい」と述べた。

 地方紙には地域に活力を生み出す役割が期待されていると強調。「読者や企業と一緒にコミュニティーの一員として、社会課題の解決を目指していく姿が重要だ」と訴えた。

 河北新報は1897(明治30)年1月17日、一力健治郎が創刊した。題号には東北が明治維新後に「白河以北一山百文」と軽視されたことへの反発と、言論による東北発展への志を込めた。以来、同一の題号と社是、経営を貫いている。

 17日午後には青葉区のウェスティンホテル仙台で、第74回(2024年度)河北文化賞の贈呈式が行われる。

関連リンク