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古くて新しい【特集】ようこそ!荒町商店街

 江戸時代にこうじの街として発展し、現在も多彩な店舗が立ち並ぶ若林区の荒町商店街。近隣に東北学院大五橋新キャンパスが開設され、若者が集う街としても注目を集める。若いオーナーの出店が相次ぐなど変化が続く商店街で、老舗店舗や新店の店主に話を聞いた。

【荒町歴 100年以上】広進堂 ~愛され続ける素朴な味~

1つ1つ表情が違うパンダクッキーも人気
店主の岡さん(右)と一美さん

 1882(明治15)年創業の老舗ベーカリー。初代は仙台市青葉区の名掛丁で砂糖問屋を営んでいたがうまくいかず、明治20年ごろには荒町に移転し菓子・パンを製造していたという。現在は6代目店主の岡直樹さんと妻・一美さんの2人でパンを作っている。

 岡さんが目指すのは毎日でも食べたくなるパン。「難しい名前のパンじゃなくて素朴でいい。次の日に食べてもおいしいパンを作りたい」と話す。

 自家製のあんを使う「あんぱん」(こし、つぶ、ごま各200円)や、程よく酸味が利いた自家製クリームを使った「チーズクリームぱん」(200円)が世代を問わず人気の品だ。

 看板商品は、片側にカスタード、もう片側にチョコクリームが入ったコロネ「恋人ぱん」(220円)。当初は「2食パン」と呼ばれていたが、「チョコとカスタードが恋人のよう」と、常連客から改名を提案されたという。「時々、チョコとカスタードのバランスが崩れることがあって、片思いぱんと呼んでいるの」と一美さん。

 最近の商店街について「若い店主が増えて、良い影響が出始めているよ」と岡さん。学生とコラボしたいそうで、今後も老舗商店の挑戦から目が離せない。

アップルパイも手作り
多彩なパンが並ぶ店内
常連客が命名した「恋人ぱん」
左上から時計周りにごまあんぱん、つぶあんぱん、こしあんぱん、チーズクリームぱん

仙台市若林区荒町28
 営/8:00~19:00
 休/第5日曜
 TEL022-222-2271

【荒町歴 46+31年】てづくり弁当 てづくり惣菜 みつわ家 ~体に優しい多彩な弁当~

取材日のお魚弁当はブリの味噌漬け焼き
唐揚げは1個100円で追加もできる

 ひときわ大きな看板を掲げた弁当店。店主の米谷(まいや)いずみさんは生粋の荒町っ子で、実家で1948(昭和23)年創業の菓子店「みつわ家」を31年前に改装し弁当屋として新しくオープン。店が手狭になり2018年、現在の場所に移転した。

 味、ボリューム、品質にこだわった弁当は、お客のリクエストに応えるうちに増え続け、今では40種以上。

 人気ナンバーワンメニューは、揚げたての大きな唐揚げが3つ入る「とりから弁当」(700円)。A、B、Cの3種から選べる「日替わり弁当」(650円~950円)や、地元鮮魚店から仕入れる上質の魚を味わえる「お魚弁当」(時価)も人気。11:00~14:00に提供する「ランチ丼」は、ご飯の上に月替わりで多彩なおかずがのって600円と格安で、学生やサラリーマンの強い味方だ。

 弁当の他、米谷さんが自信を持ってお薦めするのが、各弁当に190円でプラスできる「副菜」。野菜中心の総菜が2品追加でき、特に女性の人気が高いそう。

 大病を患った際、「体に優しいものをもっと気軽に食べられたらいいのに」と感じ弁当店の開店を決意した米谷さん。「品質にこだわった体に優しい弁当を作り続ける」と力強く語ってくれた。

米谷さん(手前右)とスタッフの皆さん
メニューは40種を超える
さまざまな総菜も販売している

仙台市若林区荒町92
 営/11:00~19:00 ※土曜は13:00まで
 休/日曜、祝日
 TEL022-222-3886

Instagram

【荒町歴 5年】IZZERIA BUENOS(ピッツェリア ブエノス) ~本格ピザ 子連れ大歓迎~

水牛のモッツァレラチーズを使った「マルゲリータ・スペチャーレ」
自家製ソーセージを使った「サルシッチャ」(S1720円、L2150円)も人気メニュー

 多国籍な料理店が並ぶ荒町商店街で、本格的なナポリピザを提供中。アルゼンチンで働いていた経験があるオーナーの菊地茂雄さんは、同国出身のサッカー選手・マラドーナの大ファンで、店内にはユニホームなどのグッズが並んでいる。

 イタリアから輸入したこだわりの石窯で焼き上げるピザメニューは21種類。週替わりでデザートピザなども提供する。

 菊地さんのお薦めは、マルゲリータピザに、水牛のミルクを使ったモッツァレラチーズと自家製ドライトマトをプラスした「マルゲリータ・スペチャーレ」(S1650円、L2090円)。水牛のモッツァレラチーズは風味を損ないやすいので、テイクアウトは不可だ。

 兵庫県淡路島から取り寄せている生麺を使ったパスタも人気で、「ボロネーゼ」(1620円)と「しらすとトマトのペペロンチーノ」(1620円、夜のみ)を提供している。

 店はコロナが広がり始めた2020年にオープン。経営は大変だったが、ピザが食べたいという子どもを連れた客が多数来店してくれたそう。「苦しい時期を救ってくれた恩を返したいので、子ども連れは大歓迎」と菊地さん。ピザを焼く真剣でちょっと怖い表情から一転、満面の笑顔で話してくれた。

菊地さんとこだわりの石窯
店内に飾られるマラドーナグッズ
菊地さんが集めているイタリア製の皿コレクション

仙台市若林区荒町72
 営/ランチ 11:30~15:00、ディナー17:00~21:00 ※水曜はランチのみ営業
 休/火曜
 TEL022-395-8828

Instagram

【荒町歴 3年】喫茶 結香珈(ゆかこ) ~モーニング文化を堪能~

仙台にもモーニング文化を広めたいと語る木村さん

 荒町商店街のメイン通りから少し入った路地にあるのが、パティシエの木村隆平さんが営む喫茶店。大学進学で住んだ名古屋の喫茶店文化、特に飲み物を頼むとサービスで軽食が付いてくる「モーニング」にほれ込み、大学を中退し飲食業界へ。バリスタやパティシエの修行を経て、2022年に「喫茶 結香珈」をオープンさせた。

 7:00~11:30、結香珈でもモーニングを提供。自家製のチーズパイまたはバタートースト、サラダ、ヨーグルトがセットで付く。トーストのパンは広進堂のものを使っている。

 「プリンアラモード」(1500円)は、むっちり硬めに仕上げた蒸しプリンを純生クリームや自家製ジェラート、木村さんが厳選した季節のフルーツで飾った逸品で、オープン時から愛される看板メニューだ。

 季節のパフェも人気。2月末までは「チョコとベリーのパフェ」(1500円)を提供中。ガトーショコラをベースにベリーを散らし、フランボワーズソースで仕上げる。パティシエならではの技を堪能できる、見た目も美しい逸品にうっとり。木村さんが入れるおいしいコーヒーとともに味わって。

森民酒造本家の酒かすを使ったスコーンなども提供
ワンドリンクで軽食を楽しめる「モーニング」
木村さんの技を堪能できる「季節のパフェ」
季節のフルーツをあしらった「プリンアラモード」

仙台市若林区荒町156
営/7:00~18:00(14:00〜15:30は昼休み)
休/日・月曜、毎月最終日
TEL080-4514-5683

Instagram

■荒町商店街 もっと知ろう

 荒町商店街のWEBサイト(QR)では、商店街の歴史や加盟店の情報、活動を紹介する動画を掲載。お得な学割情報は学生さん必見。今年の春には学割を使える店舗が増える新入生歓迎キャンペーンを予定している。

WEBページ

(河北ウイークリーせんだい 2025年1月23日号掲載)

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