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クイズや動画で震災の記憶伝承 被災小の元教頭・荒明さんが宮城・大河原産業高で講話

自作のクイズを交えて避難所運営の問題点を生徒と話し合う荒明さん(右)

 東日本大震災の記憶がない若い世代に防災・減災の意識を持ってもらおうと、当時津波で被災した東松島市大曲小の教頭で、羽陽学園短大(山形県天童市)の准教授の荒明聖(あらあけきよし)さん(61)の講話が大河原町の大河原産業高で開かれた。

 荒明さんは避難所運営の問題点に関して一方的な説明ではなく、「問いストーリー」と名付けた自作のクイズや実技を交えて解説。全3学科の1年生233人が真剣に聞き入った。

 海岸から2・7キロ離れた大曲小には高さ1・9メートルの津波が襲来した。荒明さんは校舎1階がのまれ、ヘドロだらけになった様子などを動画で紹介。「津波は100メートルを10秒で進み、高さ30センチでも人は流される。目の前に見えたらまず助からない」と語り、高所に避難する重要さを伝えた。

 生徒らの腕に水をかけ、風を当てて低体温症を疑似体験してもらう場面もあった。

 農業科学科の松本志(ゆき)さん(16)は「支援物資の食パン145枚を870人で分けて食べた話に驚いた。備蓄や生き延びる工夫の大切さを学べた」と話した。

 講話は「総合的な探求の時間」の一環で、5日にあった。荒明さんは震災後から全国の学校など約150カ所を訪れ、防災や幼児教育をテーマに講演活動を行っている。

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