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岩手・奥州出身の映像作家・版画家、森田純さんの制作回顧 没後20年、牛の博物館で展示

森田さんの作品が並ぶ会場

 岩手県奥州市前沢出身で映像作家・版画家の森田純さん(1931~2005年)の回顧展が、同市牛の博物館で開かれている。民俗芸能や地域伝承などを題材に描かれた約30点の版画などの作品と、版木や脚本などの関連資料で、郷土に根差した制作活動を振り返る。3月20日まで。

 同市衣川に伝わる芸能・川西念仏剣舞を取り上げた代表作「三人怒者(いかもの)」をはじめ、古里に伝わる義賊伝説を題材とした「ベゴの道満」、絶筆の「迦陵頻(かりょうびん)」といった作品が並ぶ。版木や筆、はけといった版画制作道具、映画の脚本、中学生時代に勤労動員された思い出を描き没後出版された絵本「とばないひこうじょう」なども展示している。

 森田さんは早稲田大卒。学習研究社で映画制作に携わり、1959年の「えんそく」では教育映画祭最高賞を受賞した。その後、フリーとなり郷里に拠点を移し、映像と版画の両分野で活躍した。

 一関中(現一関一高)で同学年だった直木賞作家三好京三さん、SF作家光瀬龍さんらと過ごした青春時代の写真も飾られ、芸術性が形作られた背景を感じ取れる。館内では映像作品の上映も行っている。

 市内から訪れた主婦の小野禮子(れいこ)さん(76)と佐々木千代子さん(68)は「地元の民話などを個性的に描いていて、すてき」と話す。同館主任学芸員の森本陽さんは「今年は没後20年。彼独自の視点で捉えた地域の民俗文化を、ぜひ見てほしい」と力を込める。

 入場料は一般400円、高校・大学生300円、小・中学生200円。

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