チラシの原形「引札」見てらっしゃい 絵師や印刷、高い技術 宮城・登米で企画展


現在のチラシの原形とされる広告印刷物「引札(ひきふだ)」を集めた企画展「千客万来! ~引札の世界~」が、宮城県登米市迫町の市歴史博物館で開かれている。カラフルな色使いが印象的な43点を展示し、広告の工夫と印刷技術の歴史を今に伝える。6月1日まで。
引札は江戸時代から制作され、開店や安売り、中元、歳暮の際に配られた。商売繁盛や大漁祈願の願いが込められ、商家と顧客をつなぐ広告媒体だった。
江戸時代から1945(昭和20)年ごろまで、現在の登米市のほか大崎、栗原、気仙沼3市、涌谷町など県北地域で配られた引札を展示する。
縁起を担いで七福神や福助を描いたり、歴史上の人物、女性の美しさをモチーフにしたりと、商家の工夫が見られる。戦時中は戦意高揚を目的とした絵柄もあり、世相を反映している。
1898(明治31)年の「猪に乗る大黒天」には19体の神様が描かれ、めでたさを前面に出した構図が目を引く。漁業の絵柄の見本帳を使った引札は、同じデザインながら店名とキャッチフレーズが異なり、見比べるのも楽しい。
学芸員の小野寺智哉副館長は「地域の商業文化を伝える貴重な史料。当時の絵師や印刷の技術の高さも感じてほしい」と見どころを話す。
午前9時~午後4時半。月曜休館。無料。学芸員による展示解説の日もある。連絡先は同館0220(21)5411。
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