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仙台・七郷小教員、教え合い伝承へ 旧荒浜小の記録写真を活用、体験談も共有 「自分の言葉」を児童たちに

パノラマ写真を見ながら旧荒浜小学区の被災状況を同僚に説明する大内さん(左)=2月、仙台市若林区の七郷小

 東日本大震災の教訓を児童たちにどう伝えるか-。仙台市若林区の七郷小の教員たちが、震災の経験を教え合う活動に取り組んでいる。津波で校舎が全壊し、統合された旧荒浜小(同区)の歴代の卒業アルバムや被害状況を記録した写真などを七郷小で保存。震災後に生まれた子どもたちへの伝承の在り方を学んでいる。(写真映像部・上村千春)

 活動の中心を担うのは旧荒浜小で被災し、現在は七郷小の教壇に立つ大内恵美さん(62)。同校の教員を対象に2月末に開かれた校内研修では、震災1カ月後に撮影された旧荒浜小学区のパノラマ写真をスクリーンに映し出し、約40人の同僚を前に体験を語った。

 大内さんは旧荒浜小の校舎を指しながら「子どもたちと屋上へ避難し、なるべく津波が見えないように真ん中に陣取った。自分の家が流されるのを見た子もいる。『大丈夫だよね』と何度も聞く子どもたちを励まし続けた」と振り返った。

 大内さん自身も市沿岸部の自宅が全壊した。荒浜小の授業が他の学校の校舎で再開すると、児童と同様に仮住まいから通った。

 3年生の担任を務める大泉佐保里さん(36)は「写真や体験談から被害の深刻さを改めて知ることができた」と感想を語った。震災から14年を迎えた3月11日には、児童たちに「復興を前向きに進めてきた人や子どもたちの思いのおかげで今の荒浜・七郷地区がある」と話したという。

 七郷小は2013~16年度に文部科学省の研究開発校に指定され、防災安全教育に力を入れた。近年は人事異動などで当時を知る教員が少なくなっていた。

 校内の資料室「あらはま部屋」では、震災後に国内外から寄せられた激励の手紙なども展示するが、活用の機会が減り課題となっていた。本年度は教員同士の研修に力を入れた。

 大内さんは「震災を直接体験していなくても、荒浜や七郷の経験を学び感じたことを自分の言葉で子どもたちに伝えることが大切。他の学校に赴任しても伝え続けてほしい」と願う。

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