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初の10代バス運転士がデビュー 仙台・宮城交通の入社2年目19歳 「地域で好かれる存在に」

 宮城交通(仙台市)で初めて10代の路線バス運転士がデビューした。仙台市出身で青葉区在住の工藤渉さん(19)。昨年4月に入社し、運転技術などの研修を経て今年2月に単独乗務を始めた。残業規制の強化でバス運転士が不足する「2024年問題」が深刻化する中、地域交通を担う若手の活躍に期待がかかる。(樋口汰雅)

路線バスのハンドルを握る工藤さん=3月21日、宮城県富谷市の富谷営業所

 3月下旬、運行を終えた工藤さんが所属する富谷営業所(宮城県富谷市)に戻ってきた。デビューからの約1カ月間を振り返り「余裕を持ち、先を見据えた運行ができるようになってきた」と顔をほころばせた。

 幼い頃から乗り物に興味があった工藤さん。高校時代に居酒屋のアルバイトで接客に自信を持ち、「人と近い距離で接することができる」と、卒業後の進路にバスの運転士を選んだ。

 2022年5月の道路交通法改正で、路線バスの運転に必要な大型2種免許は資格条件が緩和され、特例教習を受ければ、19歳以上の運転歴1年以上で取得することが可能になった。

 工藤さんは運転士候補生として入社し、特例教習を受講して昨年11月に大型2種を取った。今年1月に富谷営業所に配属され、先輩の指導を受けながら腕を磨いた。現在は仙台市や富谷市の路線を担当する。

 工藤さんは「バス運転士は、お客さまの1日の始まりや終わりをサポートすることが多い仕事。地域の方に好かれる愛想のいい運転士を目指す」と意気込む。

会社側、若い世代の入社拡大へ補助も

 宮城交通は大型2種の取得に要する50万円程度の費用を補助するなどして、若手運転士の採用を進めているが、同社グループの運転士の平均年齢は53・3歳と依然として高い。運転士確保のため、貸し切りバス事業を一部縮小し、路線バスの運行を維持している。

 宮城交通の冨士貴弘総務部長は「若い世代の入社は職場に活気を与える。これまでも取り組んでいるセカンドキャリアの受け入れとともに、幅広い人材の確保を進めたい」と話した。

19歳で運転士デビューした工藤さん

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