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宅配配送、実は孫請け 激務の連鎖、受託業者しわ寄せ

郡山市役所に設置された宅配便ロッカー。配達員と利用者の双方にメリットのある仕組みづくりが求められている=5月10日

 仙台市太白区の床井勝さん(54)宅への荷物の配送は、同市に支店がある東京の運送業者が佐川急便から業務を受託し、さらに仙台の個人運送業者に再委託していた。

 複数の大手宅配会社社員によると、外部委託は数年前まで中元、歳暮など繁忙期が中心だった。最近は荷物量の増加や人手不足、働き方改革などを背景に、年間を通して外部業者に頼る状況が続いているという。

 国土交通省の統計では、2014年度に36億個だった宅配便の取り扱い個数は年々増え、17年度は42億個を超えた。大手宅配会社の宮城県内の営業所に勤務する50代男性は「全体の約3分の2は通信販売の荷物が占める。留守宅が多く『再々々配達』もある」と明かす。

 外部委託は社員の負担軽減が目的だが、しわ寄せは受託業者に向かう。再委託料の相場は荷物1個当たり150~200円程度で、不在などで再配達となった場合も金額は変わらない。大手社員の一人は「配送車のガソリン代や中間業者に払う手数料を考慮すると、1日最低80個は配らないと割に合わないだろう」とみる。

 元請けからの外部委託、再委託へと続く激務の連鎖。宅配各社は断ち切るための対策に力を入れ始めた。日本郵便は3月、不在時でも自宅の玄関前や物置への配達を受取人が指定できるサービスを開始。ヤマト運輸は、午後や夜間の配達を専ら担う社員制度を導入した。

 業界には利用者側の意識改革を求める声もある。前述の50代男性は「受け取りやすい時間をできるだけ指定し、不在票が入っていた場合は、すぐ連絡してほしい」と訴える。

▽宅配配達員が勝手にサイン「不在時、玄関前に荷物」結局不明
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201906/20190601_13018.html

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