宅配配送、実は孫請け 激務の連鎖、受託業者しわ寄せ
仙台市太白区の床井勝さん(54)宅への荷物の配送は、同市に支店がある東京の運送業者が佐川急便から業務を受託し、さらに仙台の個人運送業者に再委託していた。
複数の大手宅配会社社員によると、外部委託は数年前まで中元、歳暮など繁忙期が中心だった。最近は荷物量の増加や人手不足、働き方改革などを背景に、年間を通して外部業者に頼る状況が続いているという。
国土交通省の統計では、2014年度に36億個だった宅配便の取り扱い個数は年々増え、17年度は42億個を超えた。大手宅配会社の宮城県内の営業所に勤務する50代男性は「全体の約3分の2は通信販売の荷物が占める。留守宅が多く『再々々配達』もある」と明かす。
外部委託は社員の負担軽減が目的だが、しわ寄せは受託業者に向かう。再委託料の相場は荷物1個当たり150~200円程度で、不在などで再配達となった場合も金額は変わらない。大手社員の一人は「配送車のガソリン代や中間業者に払う手数料を考慮すると、1日最低80個は配らないと割に合わないだろう」とみる。
元請けからの外部委託、再委託へと続く激務の連鎖。宅配各社は断ち切るための対策に力を入れ始めた。日本郵便は3月、不在時でも自宅の玄関前や物置への配達を受取人が指定できるサービスを開始。ヤマト運輸は、午後や夜間の配達を専ら担う社員制度を導入した。
業界には利用者側の意識改革を求める声もある。前述の50代男性は「受け取りやすい時間をできるだけ指定し、不在票が入っていた場合は、すぐ連絡してほしい」と訴える。
▽宅配配達員が勝手にサイン「不在時、玄関前に荷物」結局不明
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201906/20190601_13018.html