障害者施設の利用者に不適切発言 「心理的虐待」と自治体認定 宮城
宮城県の仙塩地区にある障害者福祉施設で、利用者に対する職員の不適切な発言があり、関係自治体が「軽度の心理的虐待」と認定していたことが9日分かった。自治体から報告を受けた県が施設を指導している。施設側は「再発防止に努める」としている。
施設関係者らによると被害に遭ったのは30代の男性利用者。重度の身体障害があり、仙塩地区に住んでいる。
男性利用者が6月中旬にショートステイ(短期入所)で施設を訪問し、夕食の介助を受けている際に男性職員に不適切な発言があった。施設の内部調査で発言を詳細に覚えている職員はいなかったが、周囲からは「いじめだ」「聞いていてかわいそうになる」との声が出たという。
施設の入所者が訴え、7月初めに施設が関係自治体に通報した。調査した自治体は8月上旬、「不適切な言動による言葉の暴力で不快な思いを与えた」として心理的虐待に認定し、改善計画書の提出を求めた。施設側は計画書に基づき、職員向けに虐待防止の研修などを続けている。
自治体から報告を受けた県は現在、施設を指導中。施設の代表者は「虐待はあってはならないこと。利用者の快適な生活の場を保つため再発を防ぎ、地域ニーズに応えたい」と話す。既に男性利用者の家族には謝罪した。
関係者によると、男性利用者は身動きが取れないのに、帰宅時に体に不自然な傷が見つかったこともあったという。遷延性意識障害の患者と家族でつくる「県ゆずり葉の会」の沼田孝市顧問は「福祉施設は閉鎖的な傾向があり、今回は氷山の一角だ。障害者が利用できる施設は限られており、改善してもっと良い施設になってほしい」と話す。
(この記事は「読者とともに 特別報道室」に寄せられた情報を基に取材しました)
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