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「宮城県議会事務局でパワハラ」元非常勤職員女性が公務災害を申請

 先輩に当たる職員らにパワーハラスメントを受け精神疾患を発症したとして、宮城県議会事務局の元非常勤職員の女性(58)=仙台市=が公務災害の認定を同局に申請した。女性は上司らに相談しても職場の環境は改善されなかったと主張。「事実を調べ、再発防止に努めてほしい」と訴えている。

 申立書などによると、女性は2016年10月採用。同年12月ごろから退職する19年3月ごろまで職場などで、勤務年数の長い特定の非常勤職員から繰り返し、他の職員の前で叱責(しっせき)、罵倒されたり、複数の職員に無視されたりしたという。

 周囲に不手際を言いふらすといった嫌がらせも受けたとし、女性側は該当職員の行為が、厚生労働省がまとめたパワハラの類型にある「精神的攻撃」「人間関係の切り離し」に当たると主張している。

 女性は退職後も不安や恐怖を感じ19年4月上旬、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。日常生活に支障を来し、今も睡眠薬や精神安定剤を服用している。

 女性は在職中、上司に当たる職員と面談して被害を訴え、労働問題の窓口となる別の部署の職員にも相談をした。その後も事態は変わらず、女性は「組織として対応してくれず、我慢して働き続けるしかなかった」と話す。

 女性側によると、申請は3月2日付で受理された。県議会事務局総務課は河北新報社の取材に「個人のプライバシーに関わる事項なので、事実の有無を含め答えられない」と応じた。
(この記事は「読者とともに 特別相談室」に寄せられた情報を基に取材しました)

◎知事部局に準じ規定 防止促す通達も

 県の「ハラスメントの防止等に関する要綱」はパワハラやセクハラをはじめ、妊娠や出産を理由とした差別的な扱いを挙げ、相談を理由に不利益を与えることも禁じている。議会事務局や教育委員会も知事部局に準じた規定を設けている。県は繰り返し通達を出し、注意を呼び掛けてきた。

 常勤、非常勤を問わず、全職員に職務倫理のハンドブックも配布。ハラスメントについて「職員の職務能率や職場秩序に悪影響を与える」と明記し、防止を促している。

 相談を基に本人の同意を得た上で必要に応じ関係者を調査し、行為を確認した場合は加害者に注意したり、処分を検討したりする。相談窓口として、行政管理室や各部署の課長補佐級職員を定めている。

 昨年11月には、要綱に基づきセクハラで男性職員2人をそれぞれ停職6カ月、減給10分の1(4カ月)の懲戒処分としたケースもあった。

 議会事務局の担当者は「毎週の打ち合わせや研修で注意喚起し、コミュニケーションを取っている」と説明。公務災害を申請した女性側は申立書で「調査などが行われた形跡はない」と指摘。別な形での調査を求め、やむを得ず申請に踏み切ったとしている。