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仙台中心部の「廃墟」ホテル木町解体へ 管理組合、建て替えにめど

建て替えを前提に解体されることが決まったホテル木町(画像の一部を加工しています)
家具やごみが放置されたままの一室=14日(関係者の許可を得て撮影しました)

 廃業後約20年にわたり設備が修繕されず、廃虚同然の状態になっていた仙台市青葉区木町通2丁目のホテル木町が近く、建て替えを前提に解体される見通しとなったことが20日、分かった。周辺住民にとって、地域の治安や景観の面で長年、悩みの種となっていた建物が姿を消す。

 ホテル木町管理組合によると、昨秋の集会で、客室などを所有する107人のうち5分の4以上が建て替えに賛成し、解体が決まった。老朽化した施設の修繕費が大幅に膨らむことなどを理由に、一部組合員が建て替えを提案していた。

 建物内の客室は最近まで、権利関係がはっきりしない人物が一部を占有していた。今月までに明け渡しが終わり、解体、建て替えできるめどが立った。解体の時期は検討中という。

 1997年3月には建物内で殺人事件が発生。廃業後は反社会勢力の関係者とみられる人物が出入りしていたとされ、周辺住民の間から「地域の治安に悪影響を及ぼす」と懸念する声が上がっていた。

 施設の老朽化も著しく、市建築指導課が今月、看板や外壁の一部が路上に転落しないよう求める文書を管理組合宛てに送っていた。

 管理組合の関係者によると、民法の定めで、共有所有物の建て替えを前提としない解体は、全所有者の賛成が必要となる。巨費を投じ修繕しても、新たな経営会社を見つけるなどホテルとして存続させる見通しは立たず、取り壊して新しい建物を造ることにした。

 理事の一人は「関係者を捜し、意思確認する作業に大変、苦労した」と振り返る。別の理事は「今後は費用の工面や解体の時期、建て替える中身の調整など、合意形成を進める」と語った。(この記事は「読者とともに 特別報道室」に寄せられた情報を基に取材しました)

[ホテル木町] 地上7階、地下1階。1977年開業。経営会社が破産する99年1月まで営業した。経営会社は開業時、1~3階を宿泊用として管理し、4~7階を一般に分譲。2002年に旧客室も分譲され、所有者は宮城県内外に100人以上いる。一部の客室所有者の呼び掛けを基に、2018年7月管理組合が発足した。

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