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10万円申請書、仙台市が80世帯分を一時紛失 給付8日遅れも

 国民1人に10万円を配る特別定額給付金で、仙台市の事務処理を担う事務センターが、5月下旬に受理した80世帯分の申請書を一時紛失していたことが分かった。金融機関へのデータ送信が滞り、6月18日だった給付金の振り込みは最大8日間遅れる見通し。

 事務センターは市が開設し、民間事業者に業務を委託する。市によると、申請書は記載内容を確認後、日付ごとの「入力待ち」の箱に入れ、金融機関に送信するデータ入力に回す。処理後は日付ごとの「入力済み」の箱に入れ保管する。

 80世帯分は3日以降の事務作業で、誤って「入力待ち」ではなく「入力済み」の箱に入れてしまった。18日に「振り込みがない」と市民から問い合わせがあり紛失に気付き、センター内を捜し回って見つけた。

 80世帯はオンライン申請のほか、市ホームページから書類を印刷し、自己負担で郵送する「特例申請」で手続きした。生活困窮で一刻も早く給付金が必要な人のため、2、3週間で振り込む特別な措置だった。

 青葉区の男性会社員(59)は5月25日に速達で特例申請の書類を郵送したが、1カ月後の今も振り込みはない。「家計が厳しく、少しでも早く給付金が欲しいと特例申請した。対応がずさんで残念だ」と憤る。

 事務センターは紛失発覚後、照会のあった1世帯分のミスしか市に報告しなかった。市は23日、河北新報社が男性会社員のケースを伝えたことで、初めて一時紛失の全容を把握した。

 市市民生活課の三井悦弘特別定額給付金担当課長は「申請書を次の担当に受け渡す際、数を署名入りで記録するなど再発防止策を講じたい」と語った。市は80世帯に順次、電話で給付の遅れを謝罪している。

 (この記事は「読者とともに 特別報道室」に寄せられた情報を基に取材しました)