駅伝と柔道の代替大会なし 中3生「勝負したかった」 遠田郡中総体中止で
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、宮城県内各地で地域の中総体中止などが相次いでいる。美里、涌谷両町の4校でつくる遠田郡中体連は、郡中総体を中止し、8競技で代替大会を行う。陸上・駅伝と柔道の2競技は代替大会も開かれず、郡内の中学生の保護者から「子どもたちは肩を落としている。かわいそうでならない」と残念がる声が「読者とともに 特別報道室」に届いた。
郡中総体の代替大会は7月23、24日、軟式野球やバスケットボールなどの球技を中心に「交流会」として実施。陸上・駅伝は4校全てに部がなく、柔道部があるのも2校のみのため、代替大会開催を見送った。
陸上・駅伝は例年、加美郡の4校を加えた8校で実施。他競技から生徒を集めた即席チームなどで競ってきた。
中には陸上をしたいが、部活動がなく、体力づくりを行う部で陸上の練習を続ける生徒も。そうした子を持つ郡内の父親は「区切りが付かず、後輩も先輩の『最後の走り』が見られない。全競技で代替大会を行ってほしかった」と話す。
郡中体連会長の新井雅行涌谷中校長は「部がないのに生徒を集めて『密』にしてはいけないと考えた。締めくくりの場は設けたかったが、感染リスクを重視した」と説明する。
対戦相手と組み合う柔道は「3密」の懸念がある。部員不足も除外の判断材料の一つだった。
美里町の南郷中柔道部には3年生2人が所属。地元の柔道スポーツ少年団と連携し、6月に練習を再開した。
部長の渡辺善蒼(ぜんそう)さん(15)は「状況を考えると仕方ないが、一緒に頑張ってきた仲間と試合に出て、真剣勝負をしたかった」と悔しがる。外部コーチの岩佐信吾さん(44)=美里町=は「区切りの付け方は生徒それぞれにある。最後まで本人の気持ちを尊重しながら指導していきたい」と話した。
(山並太郎)