給付金申請サポートにコメ農家殺到 大崎・古川会場 国の姿勢に疑問の声も
新型コロナウイルスの影響で収入が減少した事業者などに国が支給する持続化給付金の大崎市の申請サポート会場で、申込者が殺到して予約が取りににくくなっている。相談者の多くは宮城県北のコメ農家とみられる。新型コロナによる減収かどうか明確でなくても申請できる状況を事実上黙認している国の姿勢に、自治体の首長からも疑問の声が上がり始めた。
予約が取りにくくなっているのは、申請手続きを支援するため大崎市の古川商工会議所に開設された古川会場。8日現在、持続化給付金のウェブサイトで同会場は14日まで予約がほぼ埋まった。関係者によると、申請件数も「東北トップ」という。
制度を担当する中小企業庁は申請数の減少を受け、サポート会場の半数以上を7月末までに閉鎖した。東北も45会場から20会場に減り、古川以外の会場はほとんど予約が入っていない。
古川会場には3日、大崎、栗原、登米の3市のコメ農家が申請に訪れた。大崎市の女性は「予約の電話がつながらないので直接来た」と足早に会場に入った。大崎市の男性は「隣は栗原の農家。周りは農家ばっかりだった」と語った。
個人事業者に最大100万円支給される持続化給付金は、収入が半分以上減ったことが申請の条件。農閑期の収入がゼロのコメ農家の場合、前年の月平均収入と今年の任意の月収を比較すればよく、申請しやすいとされる。地元では「新型コロナの影響か分からないコメ農家の申請は不正受給にならないのか」と疑問の声が上がっている。
中小企業庁は、コロナの影響による減収の有無は「申請者個人の判断」として基準を示していない。
給付金の相談を受ける古川商工会議所は7月以降、農家の問い合わせが急増した。しかし、専業農家については「コロナで売り上げが下がったかどうか分からない」(担当者)と相談を断っている。
コメ農家の給付金申請は、仙台市で3日にあった宮城県市町村長会議でも問題提起された。萩原達雄大衡村長は「良心的な人は申請せず、不公平が生じている。法の穴、制度の網をくぐれるのはおかしい」と批判した。