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コメ農家の返金相談続々 持続化給付金の不正受給摘発が影響か 宮城・栗原

 新型コロナウイルスの影響で収入が減少した個人事業者らに国が支給する持続化給付金を巡り、宮城県栗原市でコメ農家が商工会などに返金相談するケースが出始めている。相次ぐ不正受給の摘発、経済産業省の自主返納の呼び掛けなどが影響しているとみられる。

 同市では新型コロナの影響が不明確なコメ農家の申請に疑問の声が上がり、情報を基に「読者とともに 特別報道室」で7、8月に実態を報道していた。

 栗原市の栗原南部商工会には9日、コメ農家から3件の相談があった。同商工会を訪れた男性は、「給付金を返したい」と問い合わせ先を聞いていった。コメ販売の収入は昨年10月のみだったが、サポート会場での申請が通り、給付金を受け取ったという。

 大崎市の古川商工会議所には8日、栗原市のコメ農家の男性から「申請の資格がなかったので返したい」との電話相談が、栗原市消費生活相談窓口には9日、返金希望の農家女性からの電話相談がそれぞれ1件あった。

 持続化給付金は個人事業者の場合、最大100万円を受け取れる制度だが、前年同月比の収入半減などが申請条件になる。

 農閑期に収入ゼロとなるコメ農家らは、前年の月平均収入と今年の任意の月収比較で申請できる特例がある。新型コロナの影響を証明する書類が不要なこともあり、宮城県北では7、8月、コメ農家とみられる申請が急増した。

 不正受給の相次ぐ摘発を受け梶山弘志経産相は6日、閣議後の記者会見で、「中小企業庁の調査が入る前に自主的に返金した場合は加算金を課さない」として、誤って受給した場合の返納を呼び掛けた。

 不正受給が判明した場合、100万円の申請者は最低20万円を加算した120万円の返金を請求される。

 栗原南部商工会の担当者は、「稲刈りの農繁期が終われば、自主返納の相談がさらに増えるのではないか」と推測する。

 返金などに関する経産省の相談窓口は、8月31日以前の申請者が0120(115)570、9月1日以降の申請者が0120(279)292。