岩手で院内感染相次ぐ 新型コロナ 県、高齢患者多く警戒

院内感染が起きた県立中央病院=盛岡市

 新型コロナウイルスの院内感染が岩手県で相次いでいる。確認されたのは、三愛(盛岡市)盛岡赤十字(同)県立中央(同)鶯宿温泉(雫石町)の4病院。重症化リスクの高い60歳以上で基礎疾患を抱える患者が多く、県や医療関係者は警戒感を強めている。

 鶯宿温泉病院では9日に初めて職員の感染が判明し、25日までに101人に広がった。49人が同病院の入院患者や元患者で、うち80代以上が37人で75・5%を占める。応援派遣を含む職員40人からもウイルスが検出された。

 県はクラスター(感染者集団)が起きた要因分析のため、厚生労働省の対策班を招請。22日までの調査で、感染起点が11月中旬から下旬にあったとの見解が示されたが、経路特定には至らなかった。

 県は感染拡大を受け、緊急事態などに備える予備費を使って新型コロナ対策費を確保。院内感染が発生した医療機関に派遣する応援職員の人件費や、濃厚接触以外の接触者も検査する「超積極的疫学調査」の継続に要する費用として約1億1400万円を計上した。

 院内感染が相次ぐ現状について、岩手医大病院感染制御部の桜井滋部長は「医療機関の間で感染予防策の実施状況や認識に差があり、油断を生んでいる場合がある」と分析する。

 医療機関は対策の徹底が必要とした上で「患者を真剣に処置しようとするほど感染の危険性は高まる。クラスターの形成を、医療機関の落ち度とする短絡的な責任転嫁は避けなければならない」と指摘する。

 河北新報社のまとめによると、県内で感染が判明した353人(25日現在)のうち、60歳以上は133人で37・7%。全国平均を10ポイント以上回っている。死者は22人に上り、全員が基礎疾患のある高齢者だった。

 累計患者数に占める死者の割合「致死率」は24日現在、全国で最も高い6・3%。県の工藤啓一郎医療政策室長は「感染者の総数が少ない中、高齢者施設や医療機関で感染が広がったことが要因と考えられる」と話す。

「ウイルスの完全遮断は困難」 岩手県立中央病院

 盛岡市の岩手県立中央病院では、11月28日に入院患者1人の感染が発覚し、その後退院済みを含む入院患者5人、看護師2人の感染が確認された。病歴や行動歴をチェックし、必要に応じて検査をした上で診察してきたが、何らかの経路で感染が広がった。

 宮田剛院長は「重症者や高齢者、基礎疾患があって免疫機能が落ちている人は、接触リスクが同じでも感染しやすい。それが病院での感染予防の難しさだ」と訴える。

 病院へのウイルス侵入を完全にブロックするのは「非常に困難」だという。感染確認後は、全ての人がウイルスを持っている可能性があるとの前提で、マスクの着用や手指の消毒を再徹底している。

 緊張状態での勤務が続いており「職員の疲労やストレスは大きい」と宮田院長。全国で増加する医療従事者の離職に危機感を募らせる。「今は健康でいること自体が社会貢献になり、医療体制の逼迫(ひっぱく)を防ぐ。マスク、手洗い、3密回避を励行してほしい」と強調する。

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